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Aは、男からの酷い仕打ちに耐え抜いた。
その証拠に彼女の身体には痛々しい歯型が無数に残っている。
乱れた衣服を整えながら静かに涙を流す彼女の事など気にかけもせず、男はその場を後にした。
｢.....っ、ふ......う....｣
血が滲むほど唇を噛み締め、声を押し殺して彼女はベッドを数回殴りつけた。
悲しかった、動く度にじくじくと痛む下腹部よりも、この事実の方がよっぽど彼女には辛く、痛かったのだ。
あれならまだ拷問を受けた方がマシだと思った。
他の女を愛した手で、あんなに冷たく抱かれるだなんて、心が壊れてしまいそう。
それでもいつまでも泣いている事は出来ない。
あの男は、一体私をどうするつもりなんだろうか。
ーーーーーーーーー
｢Aさん！！！｣
ある程度身なりを整え襖から外に出れば、鳴女さんが私の名を呼んだ。
｢良かった.......ご無事で.....｣
｢鳴女さん.....良かった、月彦さんに、何もされてませんか？童磨さんもお姿が見えないけれど…｣
｢.......こんな状況でも私共の事を心配して下さるのですね｣
私達は無事です、そう答えた後鳴女さんは私の手を優しく包んだ。
｢こんな、無茶な事はもう二度となさらないでください｣
｢悪いのは、私だもの....ごめんなさい。鳴女さんにも童磨さんにも迷惑をかけてしまって....｣
小さく漏らし、顔を覆う彼女の腕に見えた歯型と滲んだ血をはっきりと見た泣鳴女は唇を噛み締め、Aの身体を抱き締めた。
｢とんでもございません、お辛かったでしょう.....今、湯を沸かします、少しお休みください｣
襖の向こうで何があったかを、きっと鳴女さんは気づいているんだろう。
そう思うと、この場から消え去りたくなるくらい恥ずかしかった。
｢......ありがとう、鳴女さん｣
ーーーーーー
脱衣場で着物を脱いで、鏡に映った己の身体を見つめる。歯型まみれの痛々しい姿。
自分でも目を背けたくなるくらいだった。
｢っう〜.....｣
乳白色の湯は、傷口に酷く染みる。
それでも湯船の温かさは心を安心させてくれる。
フラッシュバックする記憶を消し去るかのように、湯船に潜った彼女は己の耳を塞いだ。
(嗚呼、このまま消えてしまいたい)
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舞(プロフ) - 更新頑張ってください^_^ (2021年2月9日 0時) (
レス) id: e826140184 (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 続きを楽しみにしてます！！ (2020年11月8日 13時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
ぼたんあめ(プロフ) - この小説とっても好きです！更新応援してます♪ (2020年10月27日 7時) (レス) id: 07fb25626d (このIDを非表示/違反報告)
えむ(プロフ) - 初めまして突然すみませんこちらのお話読ませていただいたのですが見ていてとても続きが気になりました！更新頑張ってください、楽しみにしています！ (2020年2月1日 20時) (レス) id: 41deac151f (このIDを非表示/違反報告)
カオリ(プロフ) - 無限城が無惨城になってますよ。気になってしまってすみません。 (2019年11月16日 23時) (レス) id: f2976f8dda (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：旧華 | 作成日時：2019年11月2日 0時
