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河川敷に腰を降ろし、ぼうっと遠くの街並みを眺めるとほんの少しだけ心が落ち着いた。
春先の風は冷たいが、空がとても澄み渡っていてとても見事な星空が見えた。
｢ねえねえ、君の名前、聴いてもいい？｣
｢.....Aです｣
｢Aちゃんかあ！へえ、素敵な名前だねえ｣
グッと間合いを詰められ、無意識のうちにぐっと身を後ろに引いてしまう。
まるで全てを肯定する様な表情と物言いだが、童磨の象徴とも言える虹色の瞳が、とても美しいのに比例して無機質で、冷たい事をAは何となく感じ取っていた。
｢それで、どうしてもAちゃんは泣いてたのかな？｣
月彦さんの部下である彼に全てを言う訳にもいかない。そもそもこの人をどこまで信用していいのかすら、私には分からなかった。
口篭る私を見据え｢う〜ん、まだ壁を感じるなあ｣と呟く童磨さんは、どういう訳か楽しげに見える。
｢もしかして、見たくないものでも見ちゃったのかな？｣
消え入りそうな声での耳打ち。
｢.........見たくないものを見ても尚、想う気持ちが消えてくれないのが辛い｣
それに応じるように小さな声で答えた。
Aの瞳からまた一筋涙が溢れる。
｢こんな気持ち初めてなんです、私......彼にさえ会わなければ、こんな気持ちしなくてもすんだかもしれないのに.....｣
退屈で不自由で、でもすべての障害から私を守ってくれる、あの家に居た方が良かったのではないか。
そう思ってしまうのが堪らなく嫌だった。
｢そうかそうか、可哀想にねえ、辛かっただろう｣
虹色の瞳からとめどない大粒の涙をぽろぽろと零しながら童磨はそう相槌を打った。
そんな彼の姿を、Aは怪訝な表情で見つめる。
｢........何故貴方が泣くの？｣
｢いやあ、健気だなと思ってね、傷つけられても相手を思い続けられていられるなんて素敵だよ、やはり心を痛めている人を見ると、此方の心も痛むものなんだね｣
とても素敵なことを言っているはずなのに、彼が言うと歯の浮くような言葉に聞こえてしまう。
ある意味才能だと思った。
ーーーそれでもやはり、彼の虹色の瞳が涙に濡れて宝石の様にキラキラ輝く様はとても美しくてつい見入ってしまう。
｢それは芍薬と、かすみ草と..桜かな？Aちゃんは花が好きなのかい？｣
｢ええ、見てると癒されるんです｣
にこりと微笑むAを笑顔で見つめ返した童磨は｢ちょっと待って｣と一言告げた。
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舞(プロフ) - 更新頑張ってください^_^ (2021年2月9日 0時) (
レス) id: e826140184 (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 続きを楽しみにしてます！！ (2020年11月8日 13時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
ぼたんあめ(プロフ) - この小説とっても好きです！更新応援してます♪ (2020年10月27日 7時) (レス) id: 07fb25626d (このIDを非表示/違反報告)
えむ(プロフ) - 初めまして突然すみませんこちらのお話読ませていただいたのですが見ていてとても続きが気になりました！更新頑張ってください、楽しみにしています！ (2020年2月1日 20時) (レス) id: 41deac151f (このIDを非表示/違反報告)
カオリ(プロフ) - 無限城が無惨城になってますよ。気になってしまってすみません。 (2019年11月16日 23時) (レス) id: f2976f8dda (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：旧華 | 作成日時：2019年11月2日 0時
