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やけに暖かいと思い薄らと目を開けると、どうやら私は月彦さんに抱き締められるような体勢で眠ってしまっていたようだった。
手はあんなに冷たいけれど、こうして傍に居ると暖かさを感じるだなんて不思議なものだ。
まだ眠りから覚めない月彦さんの顔をじっと見つめる。やはり憎らしいほど美しい顔立ちだと思った。
...こうしていると、人間となんら変わりなく見えるのに。
(今は何時なのかしら)
Aはふとそう思った。
この部屋には窓ひとつ無い、外の仕切りになっている障子の向こうから射す、オレンジがかった微かな光でようやく室内がほんのり明るい程度だ。
昼か夜かも分からぬこの部屋に居ては体内時計が狂ってしまいそうだと、彼女は深い溜息をつく。
兎に角この建物がどのような造りをしているか把握しなければ。
するりと月彦の腕からすり抜けたAは、ベッドから起きあがり恐る恐る障子へ手をかけた。
｢な........にこれ.....｣
障子の向こうに広がった、余りにも複雑な造りの空間にAは声を挙げずには居られなかった。
ベベン
また何処からともなく琵琶の音が響く。
と
部屋が変わっていた。
｢目を覚ましたのなら一言くらいかけたらどうだ｣
気配なく真横に立っていた月彦さんがそう声を漏らす。
｢！....月彦さん......！｣
｢鳴女｣
｢はい、お呼びでしょうか無惨様｣
何処からとも無く現れた鳴女というその女性は、琵琶を持った艶やかな黒髪を持つ女性だった。
｢適当に見繕ってやれ｣
｢かしこまりました｣
またひとつ琵琶の音が響けば、次に移動したのは衣装部屋のような所だった。
色とりどりの着物も、洋服もどれも高価なものだろうと一目で分かるほど上等だった。
｢さあAさん、どうぞこちらへ｣
｢そんな.....鳴女さん、私はこれで.....｣
｢お裾が汚れていらっしゃいます｣
｢あ......｣
きっと昨晩鬼に襲われた時に付いた汚れだろう。
｢遠慮なさらずに、さあ｣
確かに汚れた衣服のまま居るのははしたない事だ。
恐る恐る鳴女さんに近づいた私は、帯に手をかけた。
｢Aさんはお白いので鮮やかなお色がお似合いですね｣
｢私...洋服を着るのなんて久方ぶりです｣
｢とてもお似合いですよ｣
長い前髪から覗いた彼女の口元がやんわり弧を描いた。
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舞(プロフ) - 更新頑張ってください^_^ (2021年2月9日 0時) (
レス) id: e826140184 (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 続きを楽しみにしてます！！ (2020年11月8日 13時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
ぼたんあめ(プロフ) - この小説とっても好きです！更新応援してます♪ (2020年10月27日 7時) (レス) id: 07fb25626d (このIDを非表示/違反報告)
えむ(プロフ) - 初めまして突然すみませんこちらのお話読ませていただいたのですが見ていてとても続きが気になりました！更新頑張ってください、楽しみにしています！ (2020年2月1日 20時) (レス) id: 41deac151f (このIDを非表示/違反報告)
カオリ(プロフ) - 無限城が無惨城になってますよ。気になってしまってすみません。 (2019年11月16日 23時) (レス) id: f2976f8dda (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：旧華 | 作成日時：2019年11月2日 0時
