恋とか花とか気持ちとか。 1 ページ6
※花吐き病パロ・嘔吐表現あり
「あー、当たってる宝くじでも落ちてねえかなー」
街をそんなことを言いながらブラブラとあてもなくさまよう。
昼間の休日の街は化粧の濃い女子学生でいっぱいで、自分は酷く場違いに思えた。
パチンコにでも行こうか、と一瞬足をパチンコ屋の方へ向けてみるが、なんとなく気分が乗らず、足を戻す。
今日は快晴で雲一つ無い。かと言って、暑いわけではなく、風もちゃんとあって気持ちが良い。毎日こんなんだったらいいのにな、とおそ松は思った。
空を見上げていた顔を前に戻す。
(ん？ 何だあの子、大丈夫か？)
と、口に手をやって気持ち悪そうにしている二十前半ぐらいの女性が目に入った。
(……いや、気持ち悪そう、というよりは、苦しそう？)
心配になったおそ松が見守っていると、その女性はいきなりすごい勢いで駆け出し、ビルの隙間に入っていった。
その様子を見て、あー吐くんだな、と理解したおそ松だが、その頭に今度は別の心配が浮かぶ。
この街は、いくら華やかな学生達が多いとはいえ、当然なことにガラの悪い奴らもたくさんいる。それなのにあんなビルの隙間なんか入ったら、そいつらに襲われてしまうかもしれない。
そう考えたおそ松は、隙間の近くで女性に見つからないように見張ることにした。もし、万が一、ガラの悪い奴らに襲われてもすぐに助けられるように。
しかしながら、助けるためとはいえ、女性の吐く声を聞くなどとのことをしようとしている自分にちょっとした罪悪感と気恥ずかしさが湧いてくる。ええい、男は度胸、とそれらの感情を振り払うと、見張りに努めた。
そこで、おそ松はおかしなことに気づいた。
(……変だな、嘔吐物が落ちる音がしない？)
これは、全く持っておかしなことだった。ゴミ箱の中に吐いてるとしても、嘔吐した胃の内容物が叩きつけられる音がかすかでもするはずだ。なのに、隙間からは女性の苦しそうな声しか聞こえてこない。
どういうことなんだ、と自分の足りない頭で考えていると、隙間から苦しそうな声ではない新たな声が聞こえてきた。
「な……に、これ？」
その声にいよいよ心配になったおそ松がビルの隙間を覗き込もうと、隙間の方に顔を向けた瞬間、女性が猛スピードで口を押さえながら人混みの方へと走り去っていった。走り去るのに夢中で、ビルに寄りかかっていたおそ松のことなどに微塵も気づいた様子はない。
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チョロ松girl⊂⌒⊃ - とても、綺麗な話でした！ そして、色々と考えさせて貰いました。 (2019年7月15日 22時) (
レス) id: d9fccfe3cd (このIDを非表示/違反報告)
Aster - 野口さん» 少しでも貴方の考えの参考になったのなら嬉しいです。続編でもよろしくお願いします。 (2016年12月11日 18時) (レス) id: 7de9db5b63 (このIDを非表示/違反報告)
Aster - 紫流さん» 私は常々人の心を動かすのが物書きの仕事だと思っています。夢に一歩近づけたかな、と嬉しくなりました。こちらこそ素敵なお言葉をありがとうございます。 (2016年12月11日 18時) (レス) id: 7de9db5b63 (このIDを非表示/違反報告)
野口 - 今回のもとても綺麗でおもしろかったです！ (2016年12月7日 8時) (レス) id: 1de2cb0f26 (このIDを非表示/違反報告)
野口 - 新しいの読ませていただきました 今回のは読んでいて、あまり輪廻の話に興味がなかったんですが、来世でもその人を好きでいられるかというのは難しいと思いました。だって逢える確率の方がひくいもん、だから今精一杯の愛を！ってことかなぁと考えさせていただきました (2016年12月7日 8時) (レス) id: 1de2cb0f26 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Aster | 作成日時：2016年8月30日 8時
