愛と輪廻は交差する？ 8 ページ45
カラ松の真剣な目、激しい口調、「佐藤司」と「松野おそ松」が融合するかもしれないと言ったときの苦しそうな悲痛な表情。その全てがおそ松の心の琴線に触れたのだ。
その今度こそ疑いようのない、とても幸せなその事実におそ松は、次から次から溢れ出てくる幸福感で声を出すこともできなかった。
「わかったか？」
カラ松にそう確認をされて、おそ松は小刻みに頷きながらやっとの思いで声を発した。
「……わ、わかった」
カラ松が満足げな顔になるのが視界に入る。
それにほっとしたような、何とも言えない思いを感じたのも束の間、カラ松がまたも眼光鋭く質問をしてきた。
「……ところで、そもそも何で生まれ変わったら、なんて質問をしてきたんだ？」
何も言えないでいると、そんなおそ松を一瞥してからカラ松が言う。
「もしかしてお前、今世では幸せになれないから、せめて来世では、と思ったからじゃないよな」
「あ、いや、それ、は……」
核心を突かれて思わず狼狽すると、カラ松が確証を得たりとばかりに言う。
「やっぱりそうか」
それに観念して、おそ松は自分の不安の思いを言葉として紡いだ。
「……だっ、て、俺達は男じゃんか。それにまだ二十代前半だろ。これから先、俺みたいな男じゃなく、可愛い女の子を好きになったりとかあるだろ。お前だって女の子は大好きじゃんか」
「おそ松。オレは確かに女の子は可愛いと思うが、オレが好きになったのはお前だ。お前だから、幸せにしたいと思ってるんだ。
オレが他の奴を好きになることは絶対にない。だから、黙って愛されてくれ。
二人で、今世を幸せに生きよう」
カラ松は笑顔を浮かべてそう言うと、おそ松の体を優しく抱き締めた。
「っ、あ、ああっ……」
カラ松の匂いと温かさに包まれ、ありったけの愛の言葉をかけられ、おそ松の視界が涙で滲んだ。
「よし、わかってくれたならいいんだ」
ゆっくりと幸福感を噛みしめていると、不意に腰に違和感を感じ始めた。おそ松の涙が引っ込む。
「んっ？ ちょ、お前、どこに手入れてんの？」
そう、今、おそ松はカラ松にパーカーから手を入れられ、腰を触られている。
シリアスな雰囲気が台無しになったのは言うまでもない。
「ん？ 要は寂しかったんだろ？ だから弟達もいないことだし、たっぷり愛してやろうと思ってな」
体を少し離され、カラ松の顔が目に入る。してやったり、とばかりににやついた何ともいい笑顔だった。
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チョロ松girl⊂⌒⊃ - とても、綺麗な話でした！ そして、色々と考えさせて貰いました。 (2019年7月15日 22時) (
レス) id: d9fccfe3cd (このIDを非表示/違反報告)
Aster - 野口さん» 少しでも貴方の考えの参考になったのなら嬉しいです。続編でもよろしくお願いします。 (2016年12月11日 18時) (レス) id: 7de9db5b63 (このIDを非表示/違反報告)
Aster - 紫流さん» 私は常々人の心を動かすのが物書きの仕事だと思っています。夢に一歩近づけたかな、と嬉しくなりました。こちらこそ素敵なお言葉をありがとうございます。 (2016年12月11日 18時) (レス) id: 7de9db5b63 (このIDを非表示/違反報告)
野口 - 今回のもとても綺麗でおもしろかったです！ (2016年12月7日 8時) (レス) id: 1de2cb0f26 (このIDを非表示/違反報告)
野口 - 新しいの読ませていただきました 今回のは読んでいて、あまり輪廻の話に興味がなかったんですが、来世でもその人を好きでいられるかというのは難しいと思いました。だって逢える確率の方がひくいもん、だから今精一杯の愛を！ってことかなぁと考えさせていただきました (2016年12月7日 8時) (レス) id: 1de2cb0f26 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Aster | 作成日時：2016年8月30日 8時
