愛と輪廻は交差する？ 7 ページ44
「オレとしては、お前がなぜその三つを同じだと思えるのかがわからない。
記憶喪失はなんてことはない、ただ脳が今までの記憶を忘れてるだけだ。体は覚えてるし、お前の言葉を借りれば、魂はお前だし、環境も同じじゃないか。
入れ替わりも、今のお前が入っているのなら、たとえ他人の体だとしても、それはお前だろ。
でも、転生は違う。さっきお前はここでの日々が消えていたとしても、思い出せば、そしたら精神は今の俺になると言ったな」
「ああ、言ったよ」
「そんなわけないだろう」
即座に返事を返すと、カラ松はおそ松の目をしっかりと見つめて、はっきりとそう言った。
カラ松の真剣な瞳を受けて、おそ松は声が詰まった。
カラ松はそのままおそ松の目を見つめ、捲し立て始める。
「思い出したら今の「おそ松」になるだって？ お前は何もわかっちゃいない。
いいか、思い出す前に、お前はもう別人として生きているんだ。わかりやすいように来世のお前の名前が仮に「佐藤司」だとでもしようか。
違う母親、違う父親、母子家庭でも、父子家庭でもいい。違う兄弟、もしくは一人っ子、順番だって今と違って、末っ子だったり、真ん中だ、別に今と同じ一番上でもいいがな。いいか、お前はその環境下の中で「佐藤司」として生きるんだ。
例えば、高校のときに前世を思い出すとしよう。お前が、お前の魂が、「松野おそ松」として生きた前世を。
そしたらどうなる？
「佐藤司」に「松野おそ松」は飲み込まれるかもしれない。逆に、「松野おそ松」が「佐藤司」を飲み込むかもしれない。……もしかしたら、「佐藤司」と「松野おそ松」の記憶が融合するかもしれない。
そしたらどうだ？
それはもう、純粋な「松野おそ松」じゃない。最後に至っては、全くの別人だ。「佐藤司」でもないだろう。
確かに、生まれ変わってオレとお前がまた出逢い、また恋に落ちるというのとても素敵なことだろう。だが、それは未来のただオレの魂を持った「誰か」がすればいい。
いいか、もう一度言うぞ。
オレは、ここにいる「松野カラ松」は、今、目の前にいるお前、「松野おそ松」を好きになったんだ」
おそ松は声を出そうにも出すことができなかった。
カラ松はきちんと自分を、「松野おそ松」を認識してくれていた。その上で、自分を好きでいてくれていること、愛してくれていることが、おそ松にはよく伝わった。
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チョロ松girl⊂⌒⊃ - とても、綺麗な話でした！ そして、色々と考えさせて貰いました。 (2019年7月15日 22時) (
レス) id: d9fccfe3cd (このIDを非表示/違反報告)
Aster - 野口さん» 少しでも貴方の考えの参考になったのなら嬉しいです。続編でもよろしくお願いします。 (2016年12月11日 18時) (レス) id: 7de9db5b63 (このIDを非表示/違反報告)
Aster - 紫流さん» 私は常々人の心を動かすのが物書きの仕事だと思っています。夢に一歩近づけたかな、と嬉しくなりました。こちらこそ素敵なお言葉をありがとうございます。 (2016年12月11日 18時) (レス) id: 7de9db5b63 (このIDを非表示/違反報告)
野口 - 今回のもとても綺麗でおもしろかったです！ (2016年12月7日 8時) (レス) id: 1de2cb0f26 (このIDを非表示/違反報告)
野口 - 新しいの読ませていただきました 今回のは読んでいて、あまり輪廻の話に興味がなかったんですが、来世でもその人を好きでいられるかというのは難しいと思いました。だって逢える確率の方がひくいもん、だから今精一杯の愛を！ってことかなぁと考えさせていただきました (2016年12月7日 8時) (レス) id: 1de2cb0f26 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Aster | 作成日時：2016年8月30日 8時
