愛と輪廻は交差する？ 5 ページ42
「それは違う」
おそ松の言った言葉をカラ松はすぐに否定した。
だが、おそ松は理解ができない。
お前が言ってるのはそういうことだろう？ そんな気持ちだけが心中を渦巻いていた。
「何が違えんだよ。今お前が言ったのはそういうことだろ？ どれか一つでも欠けたら俺じゃねえってことだろ。じゃあ誰かと入れ替わった俺も、俺の体も、お前にとっちゃ好きでも何でもねえし、どうでもいいってことだろーが」
そのことを指摘すると、カラ松は何を考えているのか、自分にとっては矛盾しまくりのことを言ってきた。
「違う。オレが言いたいのはそういうことじゃない。オレは来世のお前はおそ松じゃないってことを言いたかったんだ。入れ替わりだったら、もちろん自分の体に戻ってほしい気持ちはあるが、誰かの体に入ったお前はちゃんと好きだし、誰かが入ったお前の体も大事にしたいと思ってる」
頭を振って否定しながら言うカラ松の顔は真剣そのものだ。
は、と乾いた笑いが口から漏れた。
カラ松の戯れ言に似た理想論に自分は飽き飽きしてしまったようだった。
歪な笑みを浮かべながら、カラ松におそ松は新たに問いかける。
「じゃあお前は、お前が見るのも嫌いなやつの体に俺が入ったとしても、ちゃんと好きだっていうのかよ？」
「当たり前だ。オレがそいつのことを嫌いなのは内面が嫌いだからだろう。そいつの体におそ松の精神体が入るというのなら大丈夫だ」
またもや矛盾しているカラ松に、おそ松はおどけるように肩をすくめてみせた。それでも目を細めるようにして睨みつけながら言う。
「内面が大事だって言うのなら、俺の外見なんかさほど重要じゃねえだろうが。何でそこまで来世においても、俺の外見が今と同じだってことに拘るんだよ？」
「オレは何も外見に拘っているんじゃない。オレはまずおそ松の内面を好きになり、それから外見を好きになった。好きな人の好きな部分は残っていてほしいだろ？」
こいつは俺に何を求めているのだろう、とおそ松は不思議に思った。
多くの人は変わっていくもので、カラ松もその一人のはずだった。俺みたいに変わらない、変われないやつもいるけど、人は変わるものなのだ。それはこいつもわかっているはずで。
だが、人は恋をする。どれだけ変わろうとお前はお前だ、と言ってくれる人がいる。それが愛じゃないのか。何でお前はそうしてくれないのか。
やっぱりお前は、「長男」である松野おそ松が好きなのではないか。
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チョロ松girl⊂⌒⊃ - とても、綺麗な話でした！ そして、色々と考えさせて貰いました。 (2019年7月15日 22時) (
レス) id: d9fccfe3cd (このIDを非表示/違反報告)
Aster - 野口さん» 少しでも貴方の考えの参考になったのなら嬉しいです。続編でもよろしくお願いします。 (2016年12月11日 18時) (レス) id: 7de9db5b63 (このIDを非表示/違反報告)
Aster - 紫流さん» 私は常々人の心を動かすのが物書きの仕事だと思っています。夢に一歩近づけたかな、と嬉しくなりました。こちらこそ素敵なお言葉をありがとうございます。 (2016年12月11日 18時) (レス) id: 7de9db5b63 (このIDを非表示/違反報告)
野口 - 今回のもとても綺麗でおもしろかったです！ (2016年12月7日 8時) (レス) id: 1de2cb0f26 (このIDを非表示/違反報告)
野口 - 新しいの読ませていただきました 今回のは読んでいて、あまり輪廻の話に興味がなかったんですが、来世でもその人を好きでいられるかというのは難しいと思いました。だって逢える確率の方がひくいもん、だから今精一杯の愛を！ってことかなぁと考えさせていただきました (2016年12月7日 8時) (レス) id: 1de2cb0f26 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Aster | 作成日時：2016年8月30日 8時
