愛と輪廻は交差する？ 1 ページ38
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「輪廻転生、というものは本当に存在すると思いますか、死後世界考察家の村井さん」
テレビの中では、輪廻転生というものが話題にされている。胡散臭そうな中年の男性に問いかける司会は何とも滑稽だった。
輪廻転生とは、死んでもまた別の人間になって生き返る、というものだ。昔から生への執着を見せ、死に絶大な恐怖を持っている人間らしい説と言えるだろう。
死後世界考察家、という男が人間が死んだ後の体の重さについて述べている。人が死んだときの体の重さは生前より21g軽くなっているらしい。血液や空気などの死んでいらなくなったものが減ったのだ、と考えるのが妥当だが、計算はどうにも合わない。何度計算しても、明らかに認知できない何かが減っているらしい。そこで、人が死んだときの減った21gは「魂の質量」と呼ばれている、と考察家は説明した。
(……魂の質量が21g、ね。意外と少ないんだな)
この世に生を享けて、運が良ければ大往生して。どんなに足掻いて、楽しんで。そういう悔いのない風に生きてきたとしても、自分達人間の魂はたったの21gにしかならない。その事実はなんと残酷なのだろうか。
おそ松は見ていたテレビから、つと目を離し、開いていた漫画雑誌に視線を戻した。だが、内容などは全く頭に入ってはこない。
漫画雑誌の中では、現実の人間と同じように足掻くキャラクター達が描かれていた。人間関係に悩んで、時に絶望して。それでも生を求めてる。
おそ松はこれ以上内容が入ってこない漫画を見ていてもしょうがない、と漫画雑誌を閉じた。パタン、と音がする。うつ伏せに寝っ転がっていた状態からムクリ、と緩慢な動作で起き上がる。
日曜の昼。秋の季節の今は温度がちょうど良くて、家の中でゴロゴロするのに最適だった。
一階の居間にはおそ松の他にカラ松しかいない。カラ松はテレビの話には興味がないらしく、手に持っている鏡から目を離さなかった。そんないつも通りのカラ松をおそ松は見つめる。
松野家の長男おそ松と次男カラ松は付き合っていた。これまで培ってきた信頼がいつの間にか恋へと転じ、どちらからともなく告白したのだ。
しかしながら、おそ松とカラ松はこの関係が世間から見て決して良いものではないことはわかっている。もちろんのこと、四人の弟達にもこの関係は内緒にしていた。
おそ松とカラ松は兄であり、まず弟が第一であった。
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チョロ松girl⊂⌒⊃ - とても、綺麗な話でした！ そして、色々と考えさせて貰いました。 (2019年7月15日 22時) (
レス) id: d9fccfe3cd (このIDを非表示/違反報告)
Aster - 野口さん» 少しでも貴方の考えの参考になったのなら嬉しいです。続編でもよろしくお願いします。 (2016年12月11日 18時) (レス) id: 7de9db5b63 (このIDを非表示/違反報告)
Aster - 紫流さん» 私は常々人の心を動かすのが物書きの仕事だと思っています。夢に一歩近づけたかな、と嬉しくなりました。こちらこそ素敵なお言葉をありがとうございます。 (2016年12月11日 18時) (レス) id: 7de9db5b63 (このIDを非表示/違反報告)
野口 - 今回のもとても綺麗でおもしろかったです！ (2016年12月7日 8時) (レス) id: 1de2cb0f26 (このIDを非表示/違反報告)
野口 - 新しいの読ませていただきました 今回のは読んでいて、あまり輪廻の話に興味がなかったんですが、来世でもその人を好きでいられるかというのは難しいと思いました。だって逢える確率の方がひくいもん、だから今精一杯の愛を！ってことかなぁと考えさせていただきました (2016年12月7日 8時) (レス) id: 1de2cb0f26 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Aster | 作成日時：2016年8月30日 8時
