恋とか花とか気持ちとか。 29 ページ34
そんな疑問が頭の中を駆け巡り、おそ松は考える。
(……まさか、これが俺が吐いた花だ、と言えってことか？)
もしやこれか、と思いつくがすぐに否定する。
(カラ松は俺が花吐き病なことなんか気づいてねえだろ。気づいたとしても、信じたりしねえよな。俺も自分が花吐くまで信じてなかったんだし)
じゃあ何だ、とまた考える。納得するような理由は出てこない。
カラ松は何も言えないでいるおそ松を見て取ると、目を瞑りながら言った。
「やっぱりな。今確信した。
……お前、花吐き病だろ」
最後の言葉で目を見開き、おそ松を射抜くようにカラ松は見つめる。
おそ松は一瞬時が止まったように感じた。動揺して、言葉が勝手に口から出てしまう。
「はっ……、何で、知って……」
「やっぱりか」
はっと口を押さえるがもう遅い。自分から認めてしまったのだから、もう終わりだった。
取り繕えば良かった、と後悔しながらおそ松はカラ松を見るが、当の本人は自分の吐いた花に目を落としている。どうすればいいんだ、とこの状況を打開する策を考えるが、まともなものは出てこない。
カラ松は花に視線を落としたまま、口を開いた。
「これ、お前が吐いた花だろう？」
おそ松は答えなかった。答えることができなかった。頷くこともできず、ただただカラ松を見つめる。
おそ松はもうどうすればいいかわからなかった。挽歌は最後まで歌えなかった。隠していたのに、カラ松にはなぜか花吐き病を患っていることを知られていた。そして、一番焼けてほしかった花は焼けなかった。
おそ松が答えることをしなくても、カラ松は一人で話し続ける。
「薄々疑ってはいたが、まさか本当にそうだとはな。この花は綺麗だな、おそ松。まあ、少し焼けてしまってはいるが」
それにもおそ松は答えない。カラ松はそんなおそ松を一瞥すると言った。
「……お前は今、何で自分が花吐き病を患っていることを知ってるのか、疑問に思ってるだろう」
おそ松はその言葉にピクリと反応する。カラ松はおそ松のその反応を見て取ると、続けた。
「答えを教えてやる。
それは、オレも花吐き病を患っているからだ。自分と同じだから気づいた。簡単だろう？」
おそ松はカラ松の突然のカミングアウトに開いた口が塞がらなかった。
(カラ松が、俺と同じ花吐き病？ 何で、カラ松も花吐き病を……？)
まさか、カラ松も自分と同じ病気を患っていたなんて。しかし、そう考えると確かにわかることの説明はついた。
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チョロ松girl⊂⌒⊃ - とても、綺麗な話でした！ そして、色々と考えさせて貰いました。 (2019年7月15日 22時) (
レス) id: d9fccfe3cd (このIDを非表示/違反報告)
Aster - 野口さん» 少しでも貴方の考えの参考になったのなら嬉しいです。続編でもよろしくお願いします。 (2016年12月11日 18時) (レス) id: 7de9db5b63 (このIDを非表示/違反報告)
Aster - 紫流さん» 私は常々人の心を動かすのが物書きの仕事だと思っています。夢に一歩近づけたかな、と嬉しくなりました。こちらこそ素敵なお言葉をありがとうございます。 (2016年12月11日 18時) (レス) id: 7de9db5b63 (このIDを非表示/違反報告)
野口 - 今回のもとても綺麗でおもしろかったです！ (2016年12月7日 8時) (レス) id: 1de2cb0f26 (このIDを非表示/違反報告)
野口 - 新しいの読ませていただきました 今回のは読んでいて、あまり輪廻の話に興味がなかったんですが、来世でもその人を好きでいられるかというのは難しいと思いました。だって逢える確率の方がひくいもん、だから今精一杯の愛を！ってことかなぁと考えさせていただきました (2016年12月7日 8時) (レス) id: 1de2cb0f26 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Aster | 作成日時：2016年8月30日 8時
