恋とか花とか気持ちとか。 28 ページ33
そして、最後の花へと。
おそ松は、薔薇、花菱草、ディアスシア、柿と、ここまで歌ってきた子守歌を一層心を込めて歌った。せめて、安らかに消えてほしい自分の恋心の結晶へ向けて。
この花が消えたら、自分のこの恋心も終わりだ。花が黒く染まっていく。
おそ松は歌った。
「でーんでーんだいーこーに しょーうの」
「おそ松」
もうすぐ終わる。もうすぐ歌が終わり、花も焼けて、この恋心も消える。
そう思って歌い上げようとしたとき、この場にいるはずのない者の声が聞こえた。
思わず歌を止めて、後ろを振り返る。
「カラ松……」
そこにいたのは自分が恋する者。カラ松の姿があった。
カラ松はつかつかとおそ松に近づくと、おそ松が燃やしていた花に水をかけた。ジュッ、と音がして火が消える。カラ松は花を手に取った。
近づかれて、殴られるのか、と構えたが素通りし、火を消して、挙げ句の果てには花を手に取ったカラ松に、おそ松はわけがわからない。
そもそも何でここにいるのか、という疑問が浮かんで、おそ松は問いかける。
「な、何でお前がここに？」
「十四松が頼んできたんだ。兄さんが何かを捨てようとしてるから助けてくれって。カラ松兄さんしかおそ松兄さんを救えないからってな」
カラ松はおそ松に背を向けて、花を燃やしていた場所で残った花を手に持ったまま、こちらを向こうともしないで言った。
(十四松か……)
その答えに納得する。現に十四松はここに来る前に、泣きながら止めてきたのだから。
しかし、そこで新たな疑問が浮かぶ。
何で、カラ松はここに来れたのだろう？ 十四松はさすがに自分がここに来ることなどわからないだろうに。
今度はそのことを問いかけようとしたが、先にカラ松が口を開いた。
「おそ松、何をしていたんだ？」
「花を燃やしてたんだよ。見ればわかるだろ？」
おそ松の憎まれ口には答えず、カラ松は続けて問いかける。
「そうか。何の花を燃やしていたんだ？」
それは今関係あるのだろうか、と思いながら答える。カラ松は、まだこちらを見ない。
「薔薇とか、今、お前が持ってる花だよ」
そこでカラ松はやっとこちらを振り返る。
その顔は、憤っていた。思わず体がぶるりと震える。
「オレは、花の名前を聞いたんじゃないぞ、おそ松。正直に答えろ」
おそ松は困惑した。意味が理解できない。
(……は？ 名前を聞いたんじゃない？ じゃあ何だよ)
花の名前を聞いてないなら他に何を言えと。
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チョロ松girl⊂⌒⊃ - とても、綺麗な話でした！ そして、色々と考えさせて貰いました。 (2019年7月15日 22時) (
レス) id: d9fccfe3cd (このIDを非表示/違反報告)
Aster - 野口さん» 少しでも貴方の考えの参考になったのなら嬉しいです。続編でもよろしくお願いします。 (2016年12月11日 18時) (レス) id: 7de9db5b63 (このIDを非表示/違反報告)
Aster - 紫流さん» 私は常々人の心を動かすのが物書きの仕事だと思っています。夢に一歩近づけたかな、と嬉しくなりました。こちらこそ素敵なお言葉をありがとうございます。 (2016年12月11日 18時) (レス) id: 7de9db5b63 (このIDを非表示/違反報告)
野口 - 今回のもとても綺麗でおもしろかったです！ (2016年12月7日 8時) (レス) id: 1de2cb0f26 (このIDを非表示/違反報告)
野口 - 新しいの読ませていただきました 今回のは読んでいて、あまり輪廻の話に興味がなかったんですが、来世でもその人を好きでいられるかというのは難しいと思いました。だって逢える確率の方がひくいもん、だから今精一杯の愛を！ってことかなぁと考えさせていただきました (2016年12月7日 8時) (レス) id: 1de2cb0f26 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Aster | 作成日時：2016年8月30日 8時
