恋とか花とか気持ちとか。 25 ページ30
誘われて純粋に嬉しいのだろう、顔を緩ませてカラ松は答える。
「うん、いいぞ」
「じゃあ今から行こうぜー」
カラ松を誘い出して、二人で釣り堀へと向かう。
「珍しいな、おそ松がオレを誘うだなんて」
道中でカラ松がおそ松に話しかける。笑っておそ松は答えた。
「確かにな、いつもはお前が俺を誘ってくるもんなー。しかも、相談するときだけ」
「それは……っ！」
「はいはい、弟達に嫌われたくないもんなー」
拗ねたように言ってみると、すぐにカラ松から弁解が飛んでこようとしたのでそれを遮って、先に言おうとしたことを言ってやる。
図星だったのか、カラ松は顔をしかめると小さく言う。
「……今日のおそ松は意地悪だな」
「はっ、俺、元々優しくなんかねーよ？」
思わず鼻で笑うと、カラ松が退かずに言う。
「いや、より一層という感じで」
「なんだそれ、ひっでー」
(ごめんな、優しくない兄ちゃんで)
そんな会話を繰り広げていると、釣り堀に着いていた。
釣り竿を受け取り、木の椅子に座る。カラ松はおそ松から見て右に。
会話が一つもない一時間が過ぎた。何か話さないとカラ松が困るとわかっているが、どうしても話題が出てこない。
そうこう考えているうちに、口を開いたのはカラ松だった。
「……で、どうしたんだ、おそ松？ オレに話したいことがあったんじゃないのか？」
「えっ、何もねえよ？」
それは本当だった。おそ松としては、カラ松の側にこうしていれるだけで十分なのだから。少なくとも、今は。
「そうなのか？ おそ松のことだからきっと何かあると思ってたんだが……」
(……こいつの動物的直感すげえな)
変なところにおそ松は感心しながら、普通に答える。
「お前、俺のこと何だと思ってんだよ。本当になんもねえからな？」
「そうか……」
考え過ぎか、と呟いているカラ松を、おそ松はどこか悲しそうな目で見つめた。
「結局釣れなかったなー」
その後、もう一時間粘っても魚は釣れず、おそ松とカラ松は帰路を歩いていた。その間の会話は、やはりない。
「そうだな、今日は釣りの女神がオレに微笑んでくれなかったんだな……」
「お前女神好きねー」
時刻は午後四時半。松野家の夕食は五時からなので、今から帰るとちょうどだろう。
辺りは夕焼けに包まれ、右隣にいるカラ松の姿も夕焼けに染まっていた。きっと自分も同じだ。
「……カラ松」
足を止めて立ち止まり、カラ松に声を掛ける。後ろの自分に振り向くカラ松。
「ん？」
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チョロ松girl⊂⌒⊃ - とても、綺麗な話でした！ そして、色々と考えさせて貰いました。 (2019年7月15日 22時) (
レス) id: d9fccfe3cd (このIDを非表示/違反報告)
Aster - 野口さん» 少しでも貴方の考えの参考になったのなら嬉しいです。続編でもよろしくお願いします。 (2016年12月11日 18時) (レス) id: 7de9db5b63 (このIDを非表示/違反報告)
Aster - 紫流さん» 私は常々人の心を動かすのが物書きの仕事だと思っています。夢に一歩近づけたかな、と嬉しくなりました。こちらこそ素敵なお言葉をありがとうございます。 (2016年12月11日 18時) (レス) id: 7de9db5b63 (このIDを非表示/違反報告)
野口 - 今回のもとても綺麗でおもしろかったです！ (2016年12月7日 8時) (レス) id: 1de2cb0f26 (このIDを非表示/違反報告)
野口 - 新しいの読ませていただきました 今回のは読んでいて、あまり輪廻の話に興味がなかったんですが、来世でもその人を好きでいられるかというのは難しいと思いました。だって逢える確率の方がひくいもん、だから今精一杯の愛を！ってことかなぁと考えさせていただきました (2016年12月7日 8時) (レス) id: 1de2cb0f26 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Aster | 作成日時：2016年8月30日 8時
