恋とか花とか気持ちとか。 21 ページ26
様々なことを考えながら、おそ松は花を吐き出した。
出てきた花は、放り投げてしまった花菱草の快活な美しさとは別の、ピンク色で、少し独特な形をした花が、何個も何個もついている何とも可憐なものだった。クリオネの形の花弁の後ろに二本の牙のように距がついている二センチメートル程の花が、細い茎に密集するように咲いている。
そりゃこんな小さかったら気管に入るわな、というような花がそこにはあった。
体力を消耗しているおそ松は、ピンク色の花弁、花菱草に囲まれていて、運命の王子様のキスを待っていた茨姫を彷彿とさせる。
だが、おそ松の元に王子様は現れない。
「はっ、今度の花の花言葉は何だよ……？」
場所を考えない花吐き病の症状に憤りを感じて鼻で笑うが、それでも花言葉が気になってしまう。なんてったってこの花は自分の想いを具現化したものなのだから。
と、おそ松の視界に、居間のテーブルに置き去りにされたトド松のスマホが入った。
(何でトド松のスマホが？ あいつ置いてったのか？)
疑問に思いながら近づいて手に取る。立ち上がったときに、おそ松の体に載っかっていた花弁が落ちた。
好都合だと喜んで使わせてもらうことにして、スマホを起動した。ロックはかかっていないのですぐにホーム画面に入り、さっきトド松が使っていたアプリを起動する。
自分が吐いた花へとピントを合わせ、写真を撮った。コンピューターが花を調べて膨大な情報から、撮った花の情報を選び出す。
見つかったらしく、花の写真と共に説明欄が表示された。おそ松は説明欄を目で追っていく。
＿＿ディアスシア。
別名:二角草、ツインスパー
学名:Diascia barberae
科名・分類:ゴマノハグサ科ディアスキア属
原産地:南アフリカ
草丈:20〜50��
開花期:5月〜11月
長ったらしい説明は読み飛ばし、花言葉が書いてある場所を探す。花言葉、という字が目に入ると手を止める。
＿＿花言葉。「無邪気」「私を信じて」
そして。＿＿「私を許して」
その花言葉が目に入り、おそ松はヒクッ、と顔が引きつった。
(……好きになった私を許して、ってか？)
「ふざっけんなよ……」
どれだけ自分は女々しいんだ。どれだけ自分を嫌いになればいいんだ。困らせたくないのに。あいつを、他の兄弟達を困らせたくなんてないのに。
行き場の無い想いを抱き、花が散乱する部屋で、おそ松は一筋の涙を流した。
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チョロ松girl⊂⌒⊃ - とても、綺麗な話でした！ そして、色々と考えさせて貰いました。 (2019年7月15日 22時) (
レス) id: d9fccfe3cd (このIDを非表示/違反報告)
Aster - 野口さん» 少しでも貴方の考えの参考になったのなら嬉しいです。続編でもよろしくお願いします。 (2016年12月11日 18時) (レス) id: 7de9db5b63 (このIDを非表示/違反報告)
Aster - 紫流さん» 私は常々人の心を動かすのが物書きの仕事だと思っています。夢に一歩近づけたかな、と嬉しくなりました。こちらこそ素敵なお言葉をありがとうございます。 (2016年12月11日 18時) (レス) id: 7de9db5b63 (このIDを非表示/違反報告)
野口 - 今回のもとても綺麗でおもしろかったです！ (2016年12月7日 8時) (レス) id: 1de2cb0f26 (このIDを非表示/違反報告)
野口 - 新しいの読ませていただきました 今回のは読んでいて、あまり輪廻の話に興味がなかったんですが、来世でもその人を好きでいられるかというのは難しいと思いました。だって逢える確率の方がひくいもん、だから今精一杯の愛を！ってことかなぁと考えさせていただきました (2016年12月7日 8時) (レス) id: 1de2cb0f26 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Aster | 作成日時：2016年8月30日 8時
