恋とか花とか気持ちとか。 15 ページ20
それはあの日から一週間経った日のこと。玄関の薔薇に水をやるのがおそ松のちょっとした日課になっていたときのこと。
その日はカラ松が松代におつかいを頼まれて、スーパーに一人で買い物に行っていた。松代に買い物を頼まれ、頼られて嬉しそうに、「じゃあ行ってくるぜブラザー！」なんて兄弟に報告をしてきたカラ松の笑顔をおそ松はよく覚えている。
それについて行こうと思ったのは、当然といえば当然だった。なんて言ったって、カラ松と二人きりになるチャンス、なのだから。あの日から無意識的に自分から動こうとしなかったおそ松にしては、かなりの進歩だった。
玄関の靴の棚の上に置いてある盆栽の隣の花瓶に入った自分の吐いた花に、心の中で行ってきます、を言うとカラ松の向かったスーパーへと自分も向かう。
スーパーに着き、店内に入ると、カラ松の姿を探す。調味料コーナーで醤油を選んでいるカラ松の姿を見つけると、思わず顔を綻ばせながらカラ松にそっと近づく。
トントン、と軽く肩を叩くと、前に歩道橋でやったみたいに、「ばああ」と変顔をした。
「うわあああああ！」
前回と同じように悲鳴を上げるカラ松。ただし、今回は落ちることはない。
固まっているカラ松の顔に、にひひーという笑い声を上げると、カラ松ははっと我に返った。おそ松を軽く睨みつけながら言う。
「おーそーまーつー？ 前やったときにもう二度とするなって言ったよなー？」
「あれ、そうだっけー、俺、記憶力無いからすぐそういうの忘れちゃうんだよねー」
全然覚えてないなー、という風に答えると、軽くため息をついてカラ松は言った。
「で、なんで来たんだおそ松？」
「んー、優しい優しいこのお兄様が、カラ松君の帰りの荷物を持ってあげようと思ってねー」
そう笑いながら答えると、全く信じていない目でこう返してくる。
「……嘘つけ。そんなこと言って、アイスとか買ってもらおうっていう算段だろ」
「あっ、バレたー？ いやー、アイスって時々無性に食べたくなるよねー。俺、ハーゲン食べたいなー」
「誰が、弟達のためならまだしもおそ松のためにマミーからもらった金で買うって言うんだ？」
暗に買って、と頼むと、心底嫌そうな顔をして無下に即答された。
しかし、そのことにおそ松の胸は激しく痛んだ。
いつものこと、なのに。カラ松がいつも弟達優先で自分の扱いが雑なのは理解していたはずなのに。好きだと自覚したとたんこれなのか。
(……きっついなあ)
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チョロ松girl⊂⌒⊃ - とても、綺麗な話でした！ そして、色々と考えさせて貰いました。 (2019年7月15日 22時) (
レス) id: d9fccfe3cd (このIDを非表示/違反報告)
Aster - 野口さん» 少しでも貴方の考えの参考になったのなら嬉しいです。続編でもよろしくお願いします。 (2016年12月11日 18時) (レス) id: 7de9db5b63 (このIDを非表示/違反報告)
Aster - 紫流さん» 私は常々人の心を動かすのが物書きの仕事だと思っています。夢に一歩近づけたかな、と嬉しくなりました。こちらこそ素敵なお言葉をありがとうございます。 (2016年12月11日 18時) (レス) id: 7de9db5b63 (このIDを非表示/違反報告)
野口 - 今回のもとても綺麗でおもしろかったです！ (2016年12月7日 8時) (レス) id: 1de2cb0f26 (このIDを非表示/違反報告)
野口 - 新しいの読ませていただきました 今回のは読んでいて、あまり輪廻の話に興味がなかったんですが、来世でもその人を好きでいられるかというのは難しいと思いました。だって逢える確率の方がひくいもん、だから今精一杯の愛を！ってことかなぁと考えさせていただきました (2016年12月7日 8時) (レス) id: 1de2cb0f26 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Aster | 作成日時：2016年8月30日 8時
