恋とか花とか気持ちとか。 6 ページ11
おそ松とカラ松が台所の棚の奥から引っ張り出したホットプレートで、二度と食べられないであろう肉を焼いていく。ピーマン、玉ねぎ、キノコなど、野菜類をのせることも忘れない。
家族全員の前にあるグラスにはこれまたお高い、だけど予算内の日本酒が並々に注がれ、皆この機会を目一杯楽しもうとしていることがわかる。
皆牽制しあっていた。誰かが抜け駆けをして、自分より先に高級肉を口に運ばないように。
肉が十分に焼けると一人一枚取り、タレをつけて口に運ぶ。感動し、声を上げ、皆それぞれ最初の一枚を堪能する。そして。
「だーれが、お前らに肉をやるか！ 長男様に譲りやがれ！」
「フッ、それは聞き捨てならないな、兄貴！ すべての肉はこの次男のオレのものだ！」
「おい、そこのクソ二人。さっきから言いたい放題言いやがって。ここは三男の僕に譲るべきでしょ」
「黙れ、クソ松。肉がまずくなる。お前に肉は渡さない」
「肉は全部ぼくが食べるよ！！」
「兄さん達、ちょっとは自重しようか。ここは当然末っ子のボクが優先だよね？」
「ニート達、そのセリフは少しでも家にお金を入れてから言いなさい。そして、すべての肉はこの母さんのものよ」
「か、母さん……？ あっ、バカ息子共、肉ばっかり取るんじゃない！ ちょっとは父親を敬まわんか！」
高級な肉に目が眩み、それぞれ周りを押しのけながら肉を取り始めた。両親でさえも、六つ子と同じように欲望のままに動いている。まさに地獄絵図だ。
松野家はその日、大気を揺らした。
そして、その一時間後。
「父さん、私はもうダメ……。どうか、あの子達を……止め、て……」
ガクッ、と力が抜ける体。支えていた松造の腕に体重がかかる。
その体は、何があったのやらボロボロだ。血かと思われた染みは焼き肉のタレで、ますます一時間の間に何があったのか疑念を抱かせる。
「母さん？ 母さーーん！！ くそっ、わしも勝てる気がしない……、あの、息子達に……」
松造が声を上げる。松代の体は、ピクリとも動かない。松造が目を向けた方には、六つ子達の荒ぶる姿がある。
「はい、十四松の十ってどう書くの！ こうしてこうしてこう書くのー！」
ギャハハハ、と思いっきり下品な笑い声を飛ばしながら、煽っているのがおそ松とチョロ松の二人だ。二人のジーパンはタレで汚れ、松代同様一時間の間に何があったのか第三者に気にさせる。
そして、その声援に応えているのが最終兵器十四松。
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チョロ松girl⊂⌒⊃ - とても、綺麗な話でした！ そして、色々と考えさせて貰いました。 (2019年7月15日 22時) (
レス) id: d9fccfe3cd (このIDを非表示/違反報告)
Aster - 野口さん» 少しでも貴方の考えの参考になったのなら嬉しいです。続編でもよろしくお願いします。 (2016年12月11日 18時) (レス) id: 7de9db5b63 (このIDを非表示/違反報告)
Aster - 紫流さん» 私は常々人の心を動かすのが物書きの仕事だと思っています。夢に一歩近づけたかな、と嬉しくなりました。こちらこそ素敵なお言葉をありがとうございます。 (2016年12月11日 18時) (レス) id: 7de9db5b63 (このIDを非表示/違反報告)
野口 - 今回のもとても綺麗でおもしろかったです！ (2016年12月7日 8時) (レス) id: 1de2cb0f26 (このIDを非表示/違反報告)
野口 - 新しいの読ませていただきました 今回のは読んでいて、あまり輪廻の話に興味がなかったんですが、来世でもその人を好きでいられるかというのは難しいと思いました。だって逢える確率の方がひくいもん、だから今精一杯の愛を！ってことかなぁと考えさせていただきました (2016年12月7日 8時) (レス) id: 1de2cb0f26 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Aster | 作成日時：2016年8月30日 8時
