八個目 ページ9
「貴方達は全然ピリピリしてくれなかったから失敗したような安心したような」
乾いた笑いが出る。国見英はもう頭のネジが飛んでる奴というのはわかっていたのか反応がないだけか何も言わずこっちを見下ろしていた。
「思ったよりしっかりしてるんだね」
「……はっ、はい？」
思わず間抜けな声が飛び出すも、国見英は平然と言葉を続ける。
「練習見に来てる時も他の女の子と違うから常人じゃないのかと思ってたけど感性は普通なんだね」
「……画鋲入れる時点で常人じゃないでしょ」
常人からしたらサイコパスで片付けられるぞこんなこと。何言ってんだこの人。っていうか知られてたのかよ。
「あとやけに詳しいねその手のこと」
「…………」
「中学の時さ、君の元クラスメイトから聞いたんだけど……いじめられてたらしいね」
あぁ、そこまで知られてると思ってなかった。
「……うん。私ちょっと変わってただけなのにね。目立つ存在って目につくから」
普通の人と少しズレた発想を持つ私は世間一般的に言う「ちょっと違う」存在だった。
赤い果物と言われて普通の人が「いちご」や「りんご」と言うなら私は「ザクロ」。
多数が普通で少数は変わってるに入る。おかしいよね。
そんな私が目につくのは当然のことで標的になるのもまた必然だった。
放課後は濡らされた服は乾かないし、朝撒かれていた紙類をごみ箱に運ぶ作業もあるしすぐに帰れなかったのは辛かった。
……それが今に繋がってるんだけど。
「初めて入ってた時画鋲の先端にセロテープ巻いてたのはなにかの対策？」
「……あの人鋭いでしょ。最初だけそうやっとけば怪我することなく対応できると思って」
よく見てんだな、とか思ってるんだろうな。
やっぱり同じ部活ともなると情報が濃い。伝達されてた？ でもそれだったらあの人と関わり深い三年生はもっとよく知ってたはず。
すると国見英はゆっくり腰を下ろした。突然の動きに肩が跳ねる。
「……ごめん」
「別に、大丈夫」
正直どう接していいのかわからない。敵でスパイなのかもしれないこの人に色々吐露してしまった。
「あのさ、怖い？」
「……なにが」
「いろいろ」
怖いに決まってんじゃん。
でも一番怖いのは、それなのに縋ろうとしている自分自身だ。
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水野ひのは(プロフ) - 緋鞠さん» 緋鞠様ありがとうございます。少しでも良かったと思って頂けたなら嬉しいです！きっと大変綺麗な心をお持ちなんですね。ありがとうございます！頑張らせて頂きます！ (2020年1月29日 18時) (
レス) id: 8eec0cab53 (このIDを非表示/違反報告)
緋鞠(プロフ) - コメント失礼します。題名で気になり読んでみたら、いつの間にか泣いていました。素敵な作品をありがとうございます。これからも頑張ってください。 (2020年1月29日 17時) (レス) id: 207604f612 (このIDを非表示/違反報告)
水野ひのは(プロフ) - 風華さん» ドラゴンフルーツというのもありですね！大丈夫ですドラゴンフルーツと答える方もかなりいます。正常です。私の父は迷わず赤飯と答えました。これは異常です。コメントありがとうございます。 (2020年1月2日 16時) (レス) id: 8eec0cab53 (このIDを非表示/違反報告)
風華(プロフ) - 初コメ失礼します！赤い果物で思いついたのがドラゴンフルーツだっんですけど…私の方がおかしいですかねw (2020年1月2日 11時) (レス) id: a3f48bb6df (このIDを非表示/違反報告)
水野ひのは(プロフ) - ティラミルクさん» ティラミルク様丁寧なご指摘ありがとうございます…！わっ、目なんて根も葉もないですね…。修正させて頂きました。拙い作者ですのでまた何かあれば言ってやってください！ (2020年1月2日 0時) (レス) id: 8eec0cab53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：水野ひのは | 作成日時：2019年12月29日 11時
