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夏祭り3 ページ3

「おま..たせ...」



今井さんや佐倉さん達と離れ、棗と約束していた場所に来た。




「おせぇよ、何して...」





振り向いた棗は言葉を閉ざし、こちらを凝視してきた。




「ど、どっかへん!?今井さんに確認してもらったんだけど...慣れなくて...

も、もしかして似合ってないとか!?いいっしょに歩きたくないとか..!」




「かわいい」



「へ?」



「浴衣、かわいいじゃん。似合ってる」



「ほんと?」



「あぁ。行くぞ」






ほっとしたのも束の間、棗は私の手をしっかりと握って歩き出した。






いろとりどりの屋台。

夏祭りなんて行ったことのない私は、初めての景色で辺りをキョロキョロとしていた。




ドンっ、


「おい、大丈夫か」




少し前を歩いていた棗の背中にぶつかってしまった。




「ごめん、、夏祭り、初めてで...」



「ちゃんと前見て歩けよ、ほら」






棗の視線の先にはふわふわの何かがあった。



「でっかいホワロン・・・?」



「わたあめだ」



「わたあめ...」





棗に手渡された棒付きのソレを、じっと見つめた。




「早く食べないと萎むぞ」




「萎むの!?」





それを聞いて私は急いで口に頬張った。





口いっぱいに甘い香りと味が広がっていく。

瞬間消えるふわふわの食感は、ホワロンとはまた異なるものだった。






「おいしい...!わたあめ美味しい!」



「ならよかった。Aなら好きかと思って。

次行くぞ」



「あ、棗まって!」






引っ張られた手を引き止めると、棗は振り向いた。




「ありがとう!」



「っ..」




棗はすぐに前を向いて歩き出してしまった。



でも、ただでさえ歩幅の小さくなっている私のスピードにしっかり合わせてくれていた。




ぎゅっと手を握り返し、私も棗に続いた。

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作者名:ゆら | 作成日時:2023年11月14日 7時

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