あの日、見た星に願いを。【オリジナル】 (ページ3)

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Ⅰ ページ3

──────光輝が死んだ。

それは中学二年生の冬のこと。
誰かに殺されたわけでも、
事故に遭ったわけでもない。
光輝は自ら命を絶ったのだ。

遺書も日記も遺さなかった。
何も言わずに死んだ。

まるで光輝を迎え入れるかのような星々が降り注ぐ夜空のもと宙を舞い、彼は亡くなった。

信じられなかった。
信じたくなかった。
わからなかった。
わかりたくなかった。

私と光輝は幼稚園の頃からの幼馴染で、
彼の家族以外では、私が一番彼を知っているつもりだった。

……なのに、誰にも何も言わず、彼は死んだ。

なんで？
何も言ってくれなかった。
相談ひとつしてくれなかった。

君にとって私は、そんなに頼りない存在だった？

……私の事、好きじゃなかった？嫌いだった？

ぐるぐると思考回路を巡らせようとしても、
思考は円を駆け回るだけで新しい道へは入らない。

ねえ、光輝。
わたし好きだったよ。
あなたのことが好きだった。

なのに、ねえ

「光輝……」

どうして───────……

☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆

「ねえねえ、冬休みさ、映画とか行かない？」

「あ、いいねー！Aは？」

「ん、いいよ」

高校の友達に笑いかける。
高校生になって初めての冬休み。
新しい友達もできたし、他の女の子は彼氏がいる子もいる。
冬休みのイベントといえばクリスマス。
だから皆んな活気があるんだと思う。

だけど、私はいつもこの時期は憂鬱。
光輝が死んだ季節だから。

光輝が死んで二年。
まだ二年？もう二年？

……わからない。

だけど私にとっては、光輝がいなくなった世界は
限りなくつまらないし、私だけ時が止まったように感じる。

「クリスマスの日にしよ！」

「あはは、私達三人、みんな彼氏いないから、三人でキャッキャウフフするカップル達を見返してやろうって？」

「ちょっとA。悲しいこと言わないでよ～！」

「ごめんごめん」

カップル、か。
もし光輝が生きていたら、
ううん。

もし光輝が死ぬのを知っていて、
私が止めることができたなら、
ちゃんと想いを伝えていたのなら、

光輝の隣にいたのは、
もしかしたら、
私、だったのかな。