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人魚姫 V ページ6

そして無事に夏祭りが終わり、蓮達と別れ、碧晴は帰路につく。
夏祭りというイベントだって、結局やることは毎年同じなのだ。

面倒くさいことは嫌いだ。
だからと言って、同じ環境ばかりが続くのはつまらない。


高二になっても自分は餓鬼のままだ。


なんて思いながら碧晴は、帰り道を遠回りしていった。
元々、帰りは遅くなると家族には言ってある。
少し時間が遅れても問題無いはずだ。


「……寄り道していこう」


ここではない何処かに行ってみたい。

こんなちっぽけな田舎に住む奴らなら一度は思ったことがあるはずだろう。
皆んな憧れを持つのだ。この先に。

気づけば碧晴は家の近くにある海に来ていた。
海の真上に月が輝いている。


(……そういえば、ここの海は、北の方角に位置してたっけか?)



『夏の夜、北の海に出るっていう人魚の話だろ?』



クラスメイトが話していた話題に出てくる人魚。
だが、此処にはそんな気配など一つもない。
やはり迷信、噂。都市伝説程度にしか過ぎなかったのだろう。

碧晴は近くの岩場に腰を下ろした。
やはり一人の時間が一番落ち着く。

自分は人を傷つけることしかできない。

だから一人の方が楽なのだ。
それでも蓮の誘いは必ずと言って断れない。
……何故、だろうか。

光に闇は叶わない、ということなのかもしれない。

碧晴はため息を吐く。


その時だった。


「〜♪」


鼻歌程度にしか聴こえない、小さな歌声が聞こえてきた。
近所の誰かが家の中で大熱唱しているのだろうか。

最初はそう思った碧晴だが、その歌声はどんどん碧晴の耳に近づいてくる。


「忘却の泡の華。幻の夢を今宵、祈り……」


段々と歌が近づくことに少しの恐怖を覚えるが、その歌詞の内容が碧晴には儚く思え、引き離すことはできなかった。

が、やっと碧晴はハッと我に帰り、歌が聴こえる方へ視線を向けた。

するとそこには、


「……あなた、誰?」


自分よりも少し幼く見える背の低い女の子が、キョトンとした顔で碧晴を見つめていた。

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設定タグ:オリジナル , 恋愛 , 人魚姫   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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鮭の神様(元 レオ)(プロフ) - すごい…!!私の好きな綺麗な世界観…!更新お疲れ様でした! (2020年6月14日 23時) (レス) id: 86c31a4b24 (このIDを非表示/違反報告)
昆布(プロフ) - 日向鬼@低浮上さん» ありがとうございます。「綺麗」と言ってもらえて嬉しいです〜! (2020年6月6日 20時) (レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
日向鬼@低浮上(プロフ) - もう凄いわ僕((本当に題名で当てられるようになった…待ってました!(ドンドンパフパフ)昆布さんのお話は綺麗でなんかお話し読んでて楽しい(?)から大好き!頑張って! (2020年6月6日 20時) (レス) id: 98b52071c9 (このIDを非表示/違反報告)
昆布の神(プロフ) - テイル@パピコ同盟さん» ありがとうございます。ちょっといろいろと勉強しました〜 (2020年6月6日 19時) (レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
テイル@パピコ同盟(プロフ) - 夢主の画力が良すぎィ↑私には到底辿り着けないような境地だぁ!そして文章力も圧倒的に上がってきている!羨まし! (2020年6月6日 19時) (レス) id: a6ac34b766 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:昆布の神 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fullmoon723/  
作成日時:2020年6月6日 18時

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