北一出身の白鳥沢マネージャー【3rd season】【ハイキュー】 (ページ8)

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鷲匠 side

『……白鳥沢、セッターを戻してから調子上がって来ましたね！』

『ええ。一度崩されかけましたが、瀬見がつくっていた流れを取り戻しました』

賢二郎は元に戻ったみたいだな、とため息を飲み込んで肩をすくめる。決定打となったのはさっきの葉山の言葉か。

図太く見えて繊細な賢二郎とは逆。
葉山は繊細なようで、実は図太い。

最初はネガティブな奴だと思っていたが、それは北川第一での経験が重りになっていただけで、基本いつも『まあ、大丈夫か』と思っていて、実際になんとかなるしなんとかする。

そして、それを当たり前だと思っているから、無意識のうちにそれを他人に求めているようなところがある。そういう意味では、白鳥沢の中で一番若利に似ている人間とも言える。

北川第一の試合は見たことがあるが、マネージャーは特別な人間のようには思えなかった。
及川と岩泉が中心の代は常に安定していたのでマネージャーが口を出す必要は無く、ただそこにいるだけで選手の精神的支柱となれたからだ。

及川達の卒業以降、徐々に崩壊していく北川第一の内部状況は、誰かの言葉ひとつでは再生できないところまで来ていた、というのは今だからわかる。

誰が何を言えば再生できたかなど、考えるのは愚かだ。

過ぎたことはどうしようもない。結果がすべて。こうなったのだから、どうせ誰が何を言っても変わらなかっただろう。

葉山を見ると、葉山は調子を取り戻した賢二郎を見ても特に何とも思っていなさそうだった。

壊れた関係。霧散するように離れていく仲間達を思い、捨てきれず、そして、遠くから見守ることを選び、後悔した三年間。

「……今は白鳥沢(ここ)で満足できても、いつか必ず過去と向き合う日が来るぞ」

葉山が息を飲む音が聞こえた。

そのとき、北川第一での日々を、お前はどう結論づけるんだろうな。

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宮侑 side

稲荷崎のコートにボールが落ちた。
……ああ。

「……恐ろしいなぁ」

第一セットを取られたというのに、自分の顔には笑みがこぼれた。焦燥感がないわけじゃない。せやけど、それ以上に心に込み上げてくる高揚感に近いものがあった。

『第一セットを制したのは宮城の王者、白鳥沢！第二セット、このまま白鳥沢が逃げ切るか、稲荷崎がファイナルセットに持ち込むか、ですね』

魔の三日目の二戦目、ストレートで勝ちたいのが普通。ならばその気持ちをへし折って、ファイナルに持ち込んでやる。