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「グルーシャ」
その声を聞いてハッと顔を上げた。
Aさんが何とも形容できない無表情のまま突っ立っている。
「いたし……。どこ行ってたの」
「久しぶりのアカデミーだったから、寄り道しちゃった。でも、そっか……。グルーシャも、ハルトさんとペパーさんと話してたんだ」
薄笑いを浮かべながら、赤い瞳が横目にこっちを見た。まるで心の臓を貫かれたかのように体が硬直する。
「ハルトさん。
Aさんに言われると、急かされている気分になる。
早くしないと、何もかもが手遅れになるような予感すらもしてくる。嫌な予感だ。
「ジムを巡るなら、いずれグルーシャとも戦うことになりますね。強いですよ〜、彼」
「そういうのいいから。まあ……挑戦しに来るんだったら、ジム雪山の中にあるから、ちゃんと防寒対策はして来たほうがいいよ」
「……ゆきやまのなか……?」
なんでそんな立地の悪いところに建ててるんだ___。
最強に挑むために、まずは雪山を登山できる最強の肉体を手に入れなければいけないということか?
軽く引いていると、Aさんが後ろを向いてグルーシャさんの上着の裾を軽く引っ張った。
「帰ろ。用事済んだし。お腹すいたし」
「ほんと欲望の塊みたいな人間だよね」
Aさんはそのまま帰っていったが、グルーシャさんは去り際振り返って「じゃあね」と一言 言って去っていった。
「……父ちゃんって」
ペパーがゆっくり口を開いた。先程の険しい表情は既に消えていた。
「やっぱ有名なんだな」
「え? ……うん、そうみたいだね」
「はあ……。なんか疲れちまった。オレもう行くわ。秘伝スパイスの件、考えといてくれよ!」
それだけ残して、ペパーは走って食堂を去っていった。
「……ぼくも帰ろ……」
_______
〈マリルリ〉
オス。力持ち。食いしん坊。サンドウィッチ? 一気に五個とか余裕なんで。
〈フワライド〉
オス。特性:誘爆。道端に雑草のごとく咲いている花すら踏みつけられない心優しい性格。ただ、浮いているので踏み荒らす心配は無い。
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明日続編移行します!
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作者名:昆布の神 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fullmoon721/
作成日時:2023年2月25日 23時