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『いや、なに……責めるつもりはない。ただ、協力してほしいのだ』
「協力？」
すると、突然ポケットのモンスターボールがぐらぐらと揺れ始めて、ミライドンがいきなりボールの中から出てきた。
「アギャア」
『やあ、久しぶり。元気そうで何よりだ』
「あの。このポケモン、みんな見たことない、知らないって言うんですけど、博士は知ってるんですか？」
『ああ。実はミライドンはボクが管理していたポケモンでね。ペパーという青年から受け取ったであろうモンスターボールも、元々はボクの物なんだ』
「……ああ……」
強引にやらされたポケモン勝負が記憶に新しい。
そういえば、あれからペパーを見ていない。ネモがちゃんと学校来なよ、みたいなことを言っていたし、出席率が悪いのだろうか。
『ミライドンは今弱っており、戦闘能力を失っている。移動に特化したライドフォルムにはなれそうだが、持っていた能力を完全に取り戻すには時間を必要とするだろう。
ボクの連絡先をキミのスマホロトムに登録しておく。今後は状況確認のため、定期的に連絡させてもらうよ。それでは達者で』
「あ……」
すぐにプツリと通信は切れてしまった。言いたいことだけ言って去っていった感じがすごい。
「Aさんは、フトゥー博士と知り合いなんですか？」
「はい。その一号とも、何度も会っていますよ」
「一号……」
「そうです。一号。エリアゼロ内に残っているもう一匹が二号」
「えっと……それ、名前ですか？」
「ミライドンの別名はテツノオロチとも言いますね」
絶妙に会話が噛み合わない。だがミライドンには、一号といいテツノオロチといい、仮称に近い名前が付けられているということはわかった。
「……あの……」
「はい？」
刷り込まれたかのように丁寧な口調だが、そこに
「Aさんにとって、ポケモンはどんな存在なんですか？」
＿＿＿＿『私の唯一の友人でした』
＿＿＿＿『知らないことやわからないことを調べたり、自分なりに考察することが昔から好きでした』
＿＿＿＿『わからないことの中でも一番強く惹かれたのがポケモンのことだった』
＿＿＿＿『様々なことを考えては、ウキウキワクワクと高揚が止まらなかったことをよく覚えています』
＿＿＿＿『そうです。一号。エリアゼロ内に残っているもう一匹が二号』
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作者名：昆布の神
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fullmoon721/
作成日時：2023年2月25日 23時
