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「お前……大丈夫?」
屈んで声をかけたが、ロボットのようなポケモンは力なく、「グゥ……」と鳴くだけだった。
何かないかと、藁にもすがる思いでリュックを漁る。
キズぐすりならさっき拾ったが、怪我をしているわけではなさそうだ。何か……。
____『はい! これ、お小遣いとお弁当』
「あ……」
母さんから貰ったサンドウィッチが目に留まる。母さんが自分のために作ってくれたもの。無駄にしてはいけない。
……でも、生き物を助けるためのこの行為はきっと無駄じゃない。母さんは、
「なあ、お前、サンドウィッチ、食べられるか?」
明らかに非生物的な見た目をしているが、ポケモンならば食べ物は摂取できるはずだ。
「……アギャ?」
サンドウィッチを差し出すと、ポケモンがよろりと身を起こした。
すんすんとサンドウィッチの匂いを嗅ぎ、害がないことを確認すると、ガブッと勢いよくサンドウィッチにかぶりついた。
お腹がすいているという自分の見当が間違っていなかったとわかり、ホッとする。
「よしよし……大丈夫だから、ゆっくり食べろよ」
ポケモンの背中を撫でると、見た目通り、その感触はツルツルとしている上に冷たく、機械を触っているようだった。しかし、体の内側で機能している肺の動きが伝わることで、このポケモンもちゃんと生きているのだと実感する。
「アギャアス」
倒れていたポケモンが、サンドウィッチを食べたことで多少は元気になったようで立ち上がった。
「良か……」
すると、そのポケモンは洞窟の方が気になるのか、洞窟に向かって歩いていった。
そのままぼくを通り過ぎていったので、もう一匹で大丈夫かと、そう思ったそのとき。
「アギャアアアス!!」
その瞬間、視界が眩しい光に包まれ、思わず目を瞑った。
激しい風が吹き荒れて、髪がかきあげられたかと思うと、かぶっていた帽子が飛ばされていく。
「あっ」
風に打たれながら、眩しくない後ろを振り返ると、既に帽子には手が届かなくなっていて、広がる海原の上の空の遠くまで飛ばされていってしまった。
____
ハルトの主人公感すごい。
実際そのつもりなんだけど、アオイちゃんのキャラクター性もちゃんと考えてるから、早くアオイちゃんの描写もたくさん書きたい……。
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作者名:昆布の神 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fullmoon721/
作成日時:2023年2月25日 23時