第百五十七話 ページ16
「第七師団内に網走監獄の典獄と親しい人間がいる可能性は低いが、よほど似てないと多少面識のある人間にならバレちまうぞ？大丈夫か？」
元第七師団である尾形が言うということは、このままでは白石奪還が失敗になる…これ以上はどうにかなる物なのだろうかと胸をざわつかせていると、土方さんが口を開く。
「犬童は…厳格で潔癖、規律の鬼といわれながらも、個人的な恨みで私を幽閉する矛盾を持ち合わせている心の歪みが顔に現れている」
「確かに……性格って顔に出るよな。ヒグマもキツネみたいな顔つきしてて睨んでくるのは気象の荒いヒグマだって。そうだよね？アシリパさん？」
しかし彼女は顔を俯いたまましゃべらない。よく見るとこっくりと首を揺らして舟をこいでいた。
「ダメだ…おねむの時間だ」
「ふむふむ。ならばこれでどうかな」
鈴川は髭を撫でていた手を止めると、一瞬で顔つきが変わる。優しい目つきは一気に鋭くなり、確かに土方さんの言った歪みが顔に現れている。網走に囚われていた者たちは青ざめ、そのこと自体がどれだけ犬童に近づいたのかを表している。
「しかし、犬童に変装するという課題はこなしたとしてその先はどうするんだ？尾形が言うには犬童と第七師団の繋がりは浅いんだろう？」
「俺に考えがある。まあ……焦るなって。準備が必要だ」
鈴川が寝転がるのと、アシリパさんが土方さんにもたれかかったのはほぼ同時だった。土方さんはアシリパさんを抱えると、杉元さんはいつもの注意をする。
「ほっとけよ、眠いと機嫌が……」
「やれやれ、この子は大物だ…」
その姿は、まるであの番屋で見たものと同じだった。それと同時に、私たちは彼に聞かなければいけないことを思い出した。私は震える口を開き、土方さんの目を見る。
「…土方さん、お聞きたいことが。…白石のことです」
全てをみんなの前で話せば、キロランケ殿がゆっくりと頷く。
「白石はカムイコタンで俺の手を掴もうとする時…確かに躊躇した。白石が俺達から離れようとしていたと仮定すると…ひとりで朝っぱらに月形で旅館の外をフラフラとしていたことや、あれもこれも合点がいく。考えるとするとすればAの言うように、白石がずっと前から土方歳三と内通していたことだが……」
「この状況ならもう過ぎたことでは？」
「一度裏切ったやつはなんどでも裏切る」
杉元さんのその言葉に思わず肩が跳ね、血の気が引いていく。
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ほほいほい(プロフ) - 烏羽さん» ありがとうございます。コメントを頂いたのが初めてなので嬉しい限りです。これからも応援していただけますよう精進いたしますので、どうかよろしくお願いいたします…！ (2021年9月26日 21時) (
レス) id: a999479a6f (このIDを非表示/違反報告)
烏羽(プロフ) - 思わず一気読みしてしまうぐらい最高でした！応援してます！ (2021年9月26日 19時) (レス) id: 9dd84298a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ほほいほい | 作成日時：2021年9月22日 23時
