訪問者 ページ19
戸締りを済ませナイトと一緒に車に乗り込み車を出して拓ちゃんに車庫を閉めて貰っていると、門の前で誰かが中を覗いているのが見えた
「門…のとこ、誰かいる」
『ほんとだ…』
普段人がいない家の門を覗いてるなんて十分怪しい。車を降りたAちゃんを追う
『あの…うちに、なにか』
「…上野、音子さんですよね？」
『どなたです？』
少し彼女の声に緊張が乗った…こんな所までわざわざ追いかけて来た、雑誌の記者か何かだろうか。以前の翔さんの記事を思い出しグッと眉間にシワが寄る。もう彼女を傷つけさせない…
「井原です。井原大知…覚えていませんか？」
『いは、ら…』
さっき見た彼女の卒アルにあった名前だ。確か2人と一緒に写っていた。きっと仲良かった人？だとしたら彼女のこの微妙な反応はなんだろう…
「あの、すみませんでした！」
急に頭を下げたその人にAちゃんは驚いたように1歩下がった。ふと周りを見れば、湯畑から離れてるとは言えすぐそこは温泉街。歩いてる観光客らし人がチラチラみている。どうやら記者じゃないみたいだし、こんなとこ記者に見られる方が厄介だ
「Aちゃん、」
そっと彼女に目配せすると察したように頷いた
『あの、ここだと、あれ…なので、なかへ。しょう、くん。ないとと、ふたりにも…』
「ん、分かった」
車の鍵を預かると彼女は先に井原さんを連れて家の中へ戻った。門を閉めてから車に戻って、様子を伺っていた拓ちゃん土岐さんに声を描ける
「ごめん、拓ちゃん土岐さん。一旦中戻るって」
「いいけど…誰だったの？」
「まさか…また記者？」
あの記事の件を2人も思い出していたらしく警戒が見えた
「いや、同級生みたい。さっき見た卒アルに名前があった」
「にしては、A変だったな…」
「うん、少し戸惑ってるみたいだった」
「なんか…いきなり謝られてた。人目もあるから中入ってもらったけど…」
2人が降りた後、ナイトを車から降ろしてロックをかける。
「っていうかそんな込み合った感じの話なら俺らいない方がいいんじゃない？」
「うん、そう思ったんだけど…Aちゃんがナイトと2人にもって。まぁ…知らねぇ男と実家に2人きりって…俺が普通に嫌だけど」
「あ、珍しい。俺らとかが2人きりでも言わねぇのに」
「拓ちゃんはもちろん土岐さんもAちゃんの身内みたいなもんだし、同業者は信頼関係みたいなのあんじゃん。それを裏切る様な人はそうそう居ないと思ってるけど…俺が知らねぇ男って…なんか嫌だ」
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作者名：福招猫 | 作成日時：2021年9月20日 23時
