罪みっつ ページ5
.
あの日から、五条悟は何かと理由をつけて家に来た。
追い返そうにも、彼は御三家だから理由も無しには追い返せない。私と同じで家の立場に恵まれたものだ。憎たらしい。
我が家に来るアイツを、折角もてなしてやっても礼の一つも無かった。
それどころか私を罵倒する。
弱い。ザコ。術式を持っていない。バカ。
他にも沢山。
私を貶すのは、名家同士の集まりでも同じ。
口だけは達者なくせに、その口で人を傷つけることしか出来ないクソ野郎め。
……………違う。口だけではなかった。
彼は、力も才能も持ち合わせている。
本当に憎たらしい。
私が一体何をしたというのか。なんであんなに嫌われてるのかな。
『はぁ…腹立つ……』
ため息をついて足を前に出せば、ゴロ、という音がして何かがぶつかった。
それは、人の頭。
『あ、そっか』
私が殺したんだっけ。
コンクリートで出来た壁や床には大量の血が付いている。それは全て、先程まで生きていたこの人間の血だ。
匂いが酷い。さっさと袋に詰めて引き渡そう。
私が殺した男は、呪術師達にとっての邪魔な存在である呪詛師だ。
___彼の命を犠牲に、私は力を得る。
___彼の命を代償に、私は力を得る。
私が殺したモノの残りの寿命が長ければ長いほど、私はより長くその術式を扱える。
そのモノが生きるべきだった時間を、
私が奪うのだ。
あぁ。なんて醜く、美しい術式だろうか。
………………どうせなら、パパとママの術式を受け継ぎたかった。
『…今更、無理だけどね』
男を袋に詰めて、
その場にしゃがみ、手を合わせる。
謝罪などしない。
この人の命を、寿命を、奪ったことを後悔などしない。
後悔してしまっては殺された人が可哀想だ。
だって私だったら、後悔するくせに殺したのかよって思うから。
同じ考えじゃなかったとしても、私はこれでいいと思っている。
謝りもしない私は、酷い女だろうか。
それでも、ただ、感謝を。
『__私の為に、死んでくれてありがとう』
どうか来世では、私と出会わず幸せに。
2234人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
藤宮(プロフ) - 暁郗さん» 母 は 強 し 。……そう、母は強し……母は強し……コメント……ありがとうごぜェます……。 (2021年2月23日 20時) (レス) id: cdb1df32dd (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - 母 は 強 し 。 (2021年2月23日 13時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
藤宮(プロフ) - かわさん» えー?!同じ苗字ですか?!めっちゃミラクルですね!何だか私も嬉しいです!! (2020年12月31日 21時) (レス) id: c97ecbdc86 (このIDを非表示/違反報告)
かわ - まさかの同性の人が出てきて嬉しかったです!現実でも同じ苗字の人と親戚以外であったことがないので! (2020年12月31日 17時) (レス) id: e92a741f95 (このIDを非表示/違反報告)
藤宮(プロフ) - mimiさん» 悪いなんて!むしろ丁寧じゃないですか!凄く褒めて下さるのでめっちゃ嬉しいです。どうぞお楽しみ下さい!!! (2020年12月5日 19時) (レス) id: c231945d30 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:藤宮 | 作成日時:2020年4月22日 0時