罪よっつ ページ6
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男を引き渡してから屋敷に帰れば五条悟が来ていた。
相変わらずな偉そうな顔で私の部屋に居座っている。せめて客間に居て欲しい。
「来てやった」
『……来て欲しいなんて言ってない』
「俺の顔見れんだから感謝しろよ」
彼はそう言って、いつものように笑う。
その挑発するような笑い方が私は嫌いだ。
『いつもザコが見んなって言うのに?』
「許可なく見るからだろ」
『はぁ?』
意味わかんない。こいつ自己主張激しいな。そんなに自分の顔に自信があるのか。………私もあるけど。
そもそも、許可なんてくれないでしょ。
当然のように私を下に見る五条に何か言い返してやりたかった。
だから、笑って口を開く。
『残念だけど、貴方の顔は好きじゃない』
彼は驚きで目を瞠る。形のいい口から、は、と声が零れた。
今まで褒められて来たのだろう。その顔も術式も才能も。
だがそれは、皆が皆思うことではない。
私がそうだ。
大抵の人が褒めるであろう、美しいと思うであろうその顔が私は憎い。その口から零れる私への罵倒も。
貴方だって皆が褒める私の顔が嫌いでしょう?
少し開けていた襖から風が入り私の髪を揺らした。
…心地いい。
一言言い返せたこともあって風がいつもより気持ちよかった。
五条が立ち上がる。
怒って帰るのかと思ったが彼はこちらに来て顔を私の首元に近ずけ、匂いを嗅ぐ仕草をした。
『………………なに』
正直な感想。…キモイ。マジで頭大丈夫かよ。普通、嫌いな奴にしないでしょ。
「……血の匂いがする」
眉間にシワを寄せて五条は言う。
うっわ、なんで分かんの。
襖から風が入ったからだろうか。五条の方に匂いが運ばれてしまったのかもしれない。
…だけど、それで気づくとは。
「怪我?」と聞く五条には答えず、私は笑みを浮かべる。
『不快ならどうぞお帰りください』
「……オマエが風呂入ればいいじゃん」
『じゃあその間に帰って』
「やだ」
な ん で だ よ。
いつ帰るの?何したら帰ってくれるの?
最初から帰って欲しいとは思っていたが、口にしたせいで気持ちが大きくなってしまった。
「待っててやるから匂い落とせよ」
『待たなくて良いから帰ってよ』
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藤宮(プロフ) - 暁郗さん» 母 は 強 し 。……そう、母は強し……母は強し……コメント……ありがとうごぜェます……。 (2021年2月23日 20時) (レス) id: cdb1df32dd (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - 母 は 強 し 。 (2021年2月23日 13時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
藤宮(プロフ) - かわさん» えー?!同じ苗字ですか?!めっちゃミラクルですね!何だか私も嬉しいです!! (2020年12月31日 21時) (レス) id: c97ecbdc86 (このIDを非表示/違反報告)
かわ - まさかの同性の人が出てきて嬉しかったです!現実でも同じ苗字の人と親戚以外であったことがないので! (2020年12月31日 17時) (レス) id: e92a741f95 (このIDを非表示/違反報告)
藤宮(プロフ) - mimiさん» 悪いなんて!むしろ丁寧じゃないですか!凄く褒めて下さるのでめっちゃ嬉しいです。どうぞお楽しみ下さい!!! (2020年12月5日 19時) (レス) id: c231945d30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藤宮 | 作成日時:2020年4月22日 0時