甘い…生活？ (ページ19)

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19話目ページ19

翌日、仕事帰りに源と待ち合わせして来たのはショッピングモール。

「で、何を買うの？」

「あ、あぁ…その何だ、今時の若い女の子ってのはどんな服が好きなんだ？服じゃなくても良い。とにかく喜ばれそうなものを一緒に選んでほしい。」

源はそう言うと照れ臭そうな表情で辺りをあちこち見回した。

「女の…子？年頃…は？」

「ん、確か二十歳位…だったか？」

「だったかって…。」

その人は誰？って言いそうになって口をつぐむ。

聞いてどうするの、私。源に好きな人が出来たんだとしたら、それは良い事じゃない！応援…しないと…ね。

ん？と私の顔を覗き込んできている事に気付き、「行こう。」と元気に笑いかけた。

「これは？可愛いよ。」

今流行りのワンピースを何点か並べて勧めてみるも渋い顔。

「その人に…似合わないかな？」

ズキッと胸に痛みを感じて、笑顔をつい忘れそうになる。

「よく分からないってのが正直なとこだな。」

「げ、源がわかんないのなら私はもっとわかんないよ？」

「…確かに…。」

口元に手を当て…楽しそうに笑った。

それからカバン屋さん、アクセサリーショップ、靴屋さんと巡りに巡って決めたのはピアス。

「最近開けたって言ってたのを思い出した。」

真剣な目でショーケースを見る源の側に居るのが何故か嫌で、店内を見て回る私。

「わぁ、綺麗。」

小さなスワロフスキーが縦に数個並んだネックレス。

手に持って見るとそれは眩く輝き、棚に並んでいる時よりも綺麗に見えた。

「待たせて悪かった。」

「あ、買えた？」

小さな紙袋を大事そうに持ち、「あぁ。」と頷く。

「じゃあ帰ろっか。お腹減ったね。」

「今夜は俺の奢りでピザでもとるか？」

「え！良いの！？やったー！」

帰りのタクシーの中でも上機嫌な源。

…良い人と巡り会えたんだ…良かったね。

うんうんと話に相槌を打ちながら、小さくため息をついた。

それから数日後…。

私だけ仕事が休みで家事も終わり、ぼーっとしていると突然インターホンのけたたましい音！

普段ならモニターを見るのに、この日に限って確認せず、玄関ドアを勢いよく開けた。

「はい！」

「…あなた…誰？」

そこには…大人の綺麗な女性が立っていて、隣には高校生位の女の子。その子の顔があまりに源にそっくりで目が釘付けになる。

「え、あ「源はどこ？」」

「仕事…に行ってます。」

「ねぇ、居ないの？」

女の子は悲しそうな声で話し、「会いたいのに。」と呟いた。