甘い…生活？ (ページ20)

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20話目ページ20

「そう、じゃあもう良いわ。また来ましょう。」

「あの、お茶でも…。」

女性はチラリと振り返り、何も言わずに女の子の手を引いて帰っていった。

今の人…誰？あの女の子は…？

「源に…似てた。そっくりだった。」

そういえば私、源や剛から過去の女性の話って聞いた事ない。

私だけが知らないだけで、もしかして…隠し子！？

激しい動悸はなかなか収まらず、胸を押さえて玄関に座り込んだ。

「あ…れ？A～？電気も点けないでどうしたの？」

「あ…もうそんな時間？ごめん、寝ちゃってた。」

「目、腫れてるけど…泣いてた「テレビでさ、動物のドキュメンタリーしてて…感動して泣きながら寝たみたい。やっぱり自然界は厳しいよねぇ。」」

アハハとわざと明るく笑ってキッチンに行こうとすると「嘘。」と抱き寄せられた。

「Aは嘘が下手なんだから…どうした？」

「う、嘘じゃ「こら、警察官舐めんなよ～。」」

額を合わせてウリウリと頭を押してくる。

その顔は優しく微笑んでいて、その顔を見た途端に…。

「あーぁ、泣かないよ。何があったのか話して？」

「げ、源って…彼女…居た？」

「そりゃ年齢が年齢だからね。どうして「どんな…人？」」

「あ、うーん、綺麗な人だったって…聞いてる。それとAが泣くのとどんな関係があったの？」

…綺麗な…人？じゃああの人はやっぱり源の彼女…だった人？って事は、源の子供？

過去に何があったのか、どんな人生を歩んできたのか。

それは源の生きてきた道で私がとやかく言うのはお門違いなのに…涙がどうしようもなく溢れて止まらなかった。

「ただい…お前ら電気も点けずに何を…おい、泣いてるのか？」

「源ちゃんはちょっと待って。」

「は？何で「源、Aに何かした？」」

「いや、何にも…。もしかして俺が理由？一体何が？」

眉間に深いシワを寄せ、「A。」とか細い声で私を呼んだ。

「お、俺の…女？」

「うん、ちょっと上手く把握出来てないんだけど、どうもそれが原因。」

「俺の…女。」

そう言ってため息をつき、源は頭を抱え込む。

「べ、別に隠さなくても…良かったじゃない。」

「俺が何を隠す必要が「だから前も私を買い物に誘ったんだよね？」」

「あれは違う、そんなんじゃ…。」

源の言葉を遮り、またインターホンが鳴る。

…あの人が来たんだ。この鳴らし方、間違いない。

私は両耳を塞ぎ、体を丸めて目を固く閉じた。