◆異界の神◆二章【原神】

◇人目 ページ12

「Aってさ、時々歌ってるよね？」

彼女から貸していた本を受け取ると、まじまじと此方を見ながら言った

『でぇっ！？どどどどどうして？』

どどどどどこで聴かれた？余り人が居る所で歌って無いんだけどもっっ


予想外の発言に顔が火照り動揺してしまうと、彼はクスクスと笑った

「別にからかってるわけじゃないよ？(笑)綺麗な歌声だなって思って」


『あ…ありがとう』ボボボボ

は…恥ずかしい…無意識に歌うのやめたい…
鍾離さんや魈は平気なんだけど…ついに他の人の前で歌ってたのかな？

「初めて聴いた曲だから気になっちゃって…良かったら僕にも聴かせて貰えないかなって思って」


詩に近い歌詞は確かに物語に近い。彼が音楽に興味があるかはわからないが、少なくとも詩に惹かれるのは分かる気がする


頼まれたら断れない…いつも彼には助けてもらってるし…




『えっと…一曲だけだよ？』



一呼吸すると彼女は奏で始めた



​──────…


「こ…これは」




瞬間に惹き込まれる。歌詞の意味を持つように


言葉一つ一つに想いが篭っている…



大切に歌う彼女に目を逸らす事が出来なかった




近くに居た人も歩を止め此方に目を向ける




歌声にメロディが添えられ


旋律が風が舞う様に璃月港に響いた



〜♪〜〜♫〜

痛みと痛み取り替えよう


糧にするんだ ぜんぶのかけら



燃やせ 傷ついて僕は余ってく 形になる


目覚めの先で


行こう ずっと ついてこいよ




『……こ…これで許して』ボボボボ


堂々と歌っていたのに歌い終わると赤い顔を両手で隠す
何故恥ずかしがる必要があるんだろうか？
胸張って良いのに？


「何でさ？A素晴らしいよ！何でもっと早く教えてくれないんだい！」


パチパチ！

『⁈』
「！」

「Aちゃん歌上手！」
「良いもの聞かせて貰ったよ」

『っ⁈あ…ありがとうございます……』


顔見知りの人達だった。そんな…よりによって知り合いとか…恥ずかしい…

「君の恥ずかしがる姿初めて見た」
『絶対からかってるでしょ…やめて…照れる』

プィッとそっぽを向くと彼は慌てて弁解する

「ち…違うよ〜！からかってなんかいないさ！ごめんよA」

『ふふっ…慌てる行秋も面白いね』

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