31.雪のうつしよ(伊奘冉一二三) ページ31
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ダイナマイト、レーザービーム、こころを狂わせるAの視線とよく似ている光。俺の超自我は、もう抑圧につぶされて機能していない。「おしえて。俺のことスキ?」俺はねえ、だあいすき。俺はおかしくなんてないよって言うみたいに、にっこり笑ってみせる。
得体の知れないほどの愛という感情が乱反射しておわらない。
俺はね、Aちゃん、きみの好きな人まで愛せるようなできた人間じゃないんだよ。
ほんとうに殺してやりたかった。滅茶苦茶になるまでなんかいもなんかいも殺して、Aちゃんのなかから消してあげたかったよ。
スーツの袖にこびり付いた汚れが洗っても、洗っても洗っても洗っても洗ってもとれなくて、こんなのはきたないのに、俺はAちゃんを好きなだけなのにどうしてそんなこと言われなくちゃならないの?なんでさようならを言わなくちゃならないの?俺ときみを隔てる壁なんか全部ぶっ壊したよ。ねえずっと一緒に居よう?きっと幸せになれる。
俺たちは美しくなれるのに。
どうして俺をそんな目で見るんだよ。
「Aちゃん。寒いねえ」3月の東京に風が吹く。つめたい風。脳を錆びつかせるようなこごえるそれに、縮こまって身を寄せる。Aちゃんの身体はまだ温かかった。心がどうかは、わからないけれど。
「俺はこんなに愛してるのに、きみは俺を愛してくれないの?」
どうして俺の声にこたえないんだよ。
いつかきみは俺のことを綺麗だと言ったね、俺はとってもうれしかった、だけど、俺は綺麗になんか死ねないよ。俺の内側を見て。どろどろに淀むくろい塊が胸から離れないまま腐っていく恋を、俺だけを…(きみのものにしていいよ。)
怖いくらい愛してるんだ。
だからきみと離れるなんていうのは、春の夜に雪が降るような話で、シンジュクがそれに埋もれちゃったとしても俺は、Aちゃんといっしょじゃなきゃダメなんだ。
「Aちゃん、死のっか。」
俺はAちゃんの手を取って走りだした。彼女は驚いたようすで俺に連れられて、まだぎらぎら光る街のビルまで駆ける。
急いで階段をのぼった。息をするのを忘れるほど幸せだった。繋いだ手が冷たくなるのを想像して、俺はにっこり笑った。
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タメィゴゥ - めちゃ面白かったです!ド好みです!ありがとうございました! (2019年12月23日 18時) (レス) id: 98d1675711 (このIDを非表示/違反報告)
43沿い(プロフ) - タメィゴゥさん» リクエストありがとうございます!そういうのめちゃ好きです!遅くなるかもしれませんがサマトキ了解しました! (2019年12月4日 1時) (レス) id: 8c7ee14403 (このIDを非表示/違反報告)
タメィゴゥ - すみませんリクエスト良いでしょうか? もしよろしければ左馬刻様が夢主にでろでろに依存してしまい離れられないお話を書いていただけませんでしょうか? リクエストがもはやキャラ崩壊ですがよろしければお願いします。<(_ _)> (2019年12月2日 19時) (レス) id: 78b2b55a96 (このIDを非表示/違反報告)
43沿い(プロフ) - 林檎麻さん» こちらこそありがとうございます!!!はらいくうこうくん、了解しました!ちょいムズですね…がんばります (2019年11月6日 21時) (レス) id: 8c7ee14403 (このIDを非表示/違反報告)
林檎麻(プロフ) - いつも素晴らしいお話をありがとうございます…とっても好きです…愛してます…。リクエストでよかったら波羅夷空却くんをお願いしてもいいですかね…??応援してます…!! (2019年11月3日 2時) (レス) id: 5fe5e3438d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:43沿い | 作成日時:2018年8月31日 0時