探したのにどこにもいない ページ21
そこにいる皆が絶望する光景。
Aの横腹と左足に黒いシミが出来ており確実に全身を蝕んでいくのが目に見えて分かる。
敵が最後の攻撃を放った際にランギルスを守ることができたが、自身の攻撃はもう体力の限界がきており防げなかった。
アリアードナはその結末が分かっていたからこそ止めたが、Aの意思は固かった。
「お前、ほんと馬鹿だよ。なんで、なんで全然関係のない僕なんか助けるんだよ…」
Aに話すランギルスは怒っているのか悲しんでいるのか分からない。
守られることなんてなかったから。いつも自分のことは自分で守ってきたから困惑しているのだろう。
そんなランギルスの顔にそっと手を伸ばし優しく微笑むA
『だって……まだ本音で話せてないから…。』
「はあ？別に僕と本音で話せなくたっていいだろ？何言ってるんだよ…！」
Aの息が徐々に上がっていく。
体を蝕むのが側から見ても分かるほどに黒さが増していく。
「おい、話は後だ。複合魔法で一気に王都へ戻ろう」
まずはAの治療だ。とフエゴレオンが指揮をとりノゼル、ウィリアムと魔法を合わせ王都へ向かう。
息が苦しく、体の力が抜けていくのが分かる。
もしかしたら死ぬかもしれない、と改めて死を感じる。
もし、自分が死んでしまったら皆驚くだろうな。なんてありきたりな事しか浮かばない。
でも…
これだけは伝えないと。
力の入らない手をなんとか動かし、ランギルスの裾を掴む。
ランギルスは何か言いたいと気づいたのか顔をAのすぐそばまで寄せる。
『さっ…きの続き…』
「Aもう話すな、余計体力が消耗する」
ノゼルが制止するもAは首を横に振り、話続ける
『わた…し……じゃな…く…て…』
ランギルスだけでなく周りもAの声を聞きこぼさないようじっと見つめる
『フィン…ラル……と…ほ………んねで……はなし……て…』
ランギルスは驚きを隠せない。ランギルスだけでなく、他の団長たちもだ。
まさか、兄弟で話してほしいがために自分が犠牲になるなんて考えられなかったから。
「そんな理由…で…？」
Aはまたゆっくり微笑んで静かに目を閉じた＿＿
ああ、もう目を開ける力もないや。
考えることもどんどん出来なくなってくる…
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 362人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「トリップ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
妖狐の巴衛(プロフ) - フエゴレオンのエがェになってます！ (2018年5月6日 18時) (
レス) id: 2ff3e29f1d (このIDを非表示/違反報告)
fuca(プロフ) - 白龍さん» コメントありがとうございます！皆さんの期待に応えられる内容になるか不安ですがまた続編書いていくので楽しみにしていただけたらと思います(o^^o) (2018年5月6日 10時) (レス) id: 70fbe25f18 (このIDを非表示/違反報告)
fuca(プロフ) - 匿名さん» コメントありがとうございます(o^^o)続編楽しみにしていただけて嬉しいです！また更新頑張っていきます(o^^o) (2018年5月6日 10時) (レス) id: 70fbe25f18 (このIDを非表示/違反報告)
fuca(プロフ) - ミリアさん» その時の場面でこういうのがあったらいいなと思いその都合に良いものを考えついただけですよ(o^^o)あとは原作などと被らないようにだけ気をつけました。 (2018年5月6日 10時) (レス) id: 70fbe25f18 (このIDを非表示/違反報告)
白龍 - お疲れ様でした！そして続編待ってますーーーーーーーー！！！そしてフエゴレオン団長助かってくれ！！！ (2018年5月5日 19時) (レス) id: 8060fe6cc8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：fuca | 作成日時：2018年3月18日 12時
