29.頬 ページ30
――――――――――――――――――――Aside
その日は点滴が終わって、帰った
―――部屋にて
貴「…あの…?」
風「なに?」
なぜ、私の部屋に風斗君が。
貴「なぜ…私の部屋に」
風「用があるからに決まってるでしょ」
貴「はあ…?」
風「んで、その頭の傷、どうしたわけ」
貴「…これ、は、えーと…」
風「・・・」
ツッ、と人さし指で傷の当たりを撫でられる
貴「ッ…」
ビクリ、と反応してしまう自分が憎い
…少し、痛む
風「…痛い?」
貴「…少し」
風「……そう、ごめん」
スルリと人さし指が掌に変わって
私の頬にあてられた
風「…あんた、声優やるんだって?」
貴「流れで…なぜそれを?」
風「…ううん、特には無いけど」
貴「?」
風「…気を、付けなよ」
そう言って風斗君は部屋を出て行った
触れられていた頬が熱い
貴(気を付ける…か)
――――――――――――――――――――風斗side
頭に巻かれた痛々しい包帯
彼女のその姿を見た時に胸が痛んだ
なにか、湧き上がる感情があった
本当は今すぐにでも抱きしめたかった
抱きしめて、…なにが、したかったんだろう
風(頬…柔らかかった…)
つるりとしていてすべすべの白い頬
…僕は、あの頬に傷がついたら付けた奴を許さない
風「…なんだ、この感情…」
らしく、ない。
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S - とてもいいお話ですね♪これからも頑張って下さい!! (2014年5月11日 13時) (レス) id: bcec243cdc (このIDを非表示/違反報告)
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