いーち。【トイレの花子さん】 ページ3
ねぇ知ってる?
この学園にある七不思議の話
全部の正しい話を集めると
何かが起こるんだって…
「知らないの?
じゃあ一つだけ教えてあげる
一番有名な話ね
七不思議の七番目 トイレの花子さん」
そう、教えてくれたのは一体誰だったろうか。多分、同じクラスの葵ちゃんだったかな、オカルト好きの寧々ちゃんが騒いでたっけ。
花子さん……花子さんね、きっと間違いなく彼のことに違いない。呼び出すと願いを叶えてくれるという噂の彼。だけども、その噂には続きがあって。花子さんは願いを叶える代わりに、一つだけ呼び出した相手にとって一番大切なものを奪っていく。なんとも、まぁ怪異らしいおどろおどろしさと甘言で出来た噂なのだろう。
なんて思いつつも小さく笑みを浮かべていれば、先程まで葵ちゃんと話してた寧々ちゃんがおもむろにこっちを見て話しかけてくる。
「光璃!光璃はさ、七不思議に興味ある!?」
「え?うん、興味はあるけど……
どうかしたの?寧々ちゃん」
「あ、えーっとねぇ、そのぅ……私ね、花子さん呼び出したいんだけど1人じゃ怖いから……着いてきてっ!」
いいよ、と肯けば早速寧々ちゃんは私の手を引いて花子さんの所まで連れていく。
興味もあるも何も、私が花子さんと知り合いだ、なんで知ったら寧々ちゃんはどう思うのだろう。知り合いどころか、私は昔から怪異が見えて、この学校の七不思議や怪異達が人間との良好な関係を、害のない正しい関係を築けるように花子さんと共に動いてる、とか言ったらオカルト好きの寧々ちゃんは喜ぶかな?それとも、黙ってたなんて酷いって怒るだろうか。
なんて考えてたら、旧校舎の3階にある女子トイレについていて。
旧校舎の3階の女子トイレ。そこの三番目の個室に花子さんはいると噂されていて。呼び出し方はノックを3回。
それから――――
「花子さん、花子さん、いらっしゃいますか」
一拍の静寂の後。
「はーあーい」
ゆっくりと、それでいておどろおどろしく。少し幼げな少年の声が扉のきしむ音と共に聞こえてきた。
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作者名:沙之揺來 | 作成日時:2020年2月21日 3時