アメリカ帰りの最強選手が日本代表を鍛える話【オリオンの刻印】

Side Story：夢野とジャパニーズハロウィーン ページ25

「……日本のハロウィーンは、なぜあんなにクレイジーなんだい？」

突然投げかけられたこの疑問。
日本でハロウィンを初めて過ごすAにとっての謎である。

「いや……別に全員が全員クレイジーってわけでもないぞ？」
「それは分かるんだけどさァ……」

Aは顔をしかめながら言った。

「道路の真ん中で有象無象が群がってスリラーまがいなことをしたり……なんかもう、リビングデッドの仮装の一環だったりするのかい？」
「違うよ！」

稲森が全力で否定をするも、Aの勘違いは止まらない。

「あれか！街ぐるみでGotham City(ゴッサム・シティ)のコスプレをしているのか！大したもんだね」
「違う違う！」

Aは腕を組み、分からないなぁ、と力なく呟く。

「アメリカの方がはしゃいでるイメージはあるけどな」
「そういうステレオタイプ困るんだよなぁ。あのジャパニーズハロウィンの大行進ほど暴徒化しないさ。……多分ね」

Aは簡潔に説明を始める。

「アメリカ……少なくとも俺が住んでたところでは『収穫を祝う』って意味合いの方が強いんだよな。あとは……そうだな。死者が訪ねてくるってニュアンスなら、お盆とかのイメージかもね？」

なるほど、と相槌を打つ一同。

「カボチャを彫ったりもしたなぁ。あれ結構腕が疲れるんだよね」

ノリノリで話すAは不思議そうに見られていた。

「なんかAはこういうお祭りごとに興味ない、って感じだけど……」
「まさか。楽しい行事は好きさ。ハロウィンは仮装やらお菓子やらで高い経済効果も期待できるし、決して悪いイベントではないよね」

やはり独特の観点を持っているAだが、季節のイベントには好意的だそうだ。

と、和やかな時が流れている時……

「うああああああッ！！！」

突如大きな悲鳴が上がった。

声の主を辿って顔を向けると、そこには悶絶する剛陣の姿があった。
よく見れば彼の片手にはカップケーキが。

「まさか……！夢野のケーキを食べたのか！？」

正解である。

「……お粗末様でした」

そう言いながら悶え苦しむ剛陣の前で合掌するAなのであった。



「日本のハロウィン事情なんかよりも、お前の方がよっぽどクレイジーだろうよ……」

それを傍らで見ていた灰崎の呟きは、果たしてAに聞こえていたのだろうか。

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Aくんの仮装は「アダムス・ファミリー」のウェンズデーっぽいやつですw

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