秘密の存在２【H×H】 (ページ18)

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５７、相対するページ18

【ハンゾー side】

三時間経った。あれからずっと戦闘を続けているが、45番……ソフィアは一向に息を乱さない。
俺が息を乱さないのは鍛練の賜物だが、ソフィアも息を乱していない。しかも、こいつは靴がブーツのままだ。
ヒールは動きづらいし素材からして腱の動きは制限されるはずだ。

なのに、自由自在に動き回る。木々の幹を利用して回避と攻撃、防御までこなしやがる。
地の利を活かすことは俺だって叩き込まれたのに、それとは格段に違う！

何よりも──最初は余裕で対応できていた動きが、今では目で追うことも困難になってる！

(右、いや左、違う上か！？)

かろうじて避け、その瞬間にカウンターを繰り出すがそれを逆手に取られ投げられる。
先にあった木に足をつけるも、追撃と言わんばかりに拳を振りかぶって突っ込んでくる。

(ずっと、笑ってやがる……っ)

木を蹴ってギリギリのところで回避する。

した、はずだ。

(ちく、しょ……！)

背を蹴り落とされ、俺の体は地面に急転直下。体勢を建て直して着地し、その場から飛び退く。
とてもじゃないが攻撃を入れるなんてできやしねぇ。今だって、ソフィアが体を空中で捻ったのを視界に入れてなけりゃ蹴られたことだってわからなかっただろう。

俺はこれまで色んなやつと戦ってきた。俺より下の腕のやつとも、同等の腕前を持つやつとだって戦ってきた。特に、同等の腕前を持つやつとの戦いは忍にとって重要だ。
決して弱くないという自負がある。だが、ソフィアは遥か上をいく。

そう、遥か上。少し打ち合えばすぐにわかる。
ソフィアはまだ手を抜いている。速度を調整しながら、込める力を加減しながら、まるで自分がどれだけの力を出せばどうなるのかを確かめているかのようだ。

「力加減間違った……」

(う、っそだろ！)

さっきまで居た場所に、クレーターが出来上がる。
また木を飛び移りながらそう呟くのを聞いて、全身の血の気が引いた。

気配が接近する。合わせて出した膝蹴りに手を置かれ、下から見上げられる。
もう片方の握られた拳を見た途端に、一瞬が何倍にも引き伸ばされる感覚。

(これ、不味いんじゃ……！)

急いで顎をガードする。ここで入れられれば、気絶は避けられない！

「ありがとう、なんとなく掴めてきたわ」

拳は、フェイント。本命は──体を捻った、回し蹴り。
気づいた瞬間にはもう、意識が落ちようとしていた。

(完敗、だぜ……)