秘密の存在２【H×H】 (ページ17)

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５６、遭遇ページ17

「悪いな、助かった」

飛来したプレートをキャッチした私に、ハンゾーがからりとした笑顔を浮かべて片手で感謝を示す。

「これ、貴方のターゲット？」

「そうだ」

番号を見せれば、それそれ！とはしゃぐ。見ていて面白い。
トリックタワーでの暇潰しに長時間トランプで遊んだからか、なんとなくハンゾーの警戒が薄い気がする。

「なんで飛んできたの？」

「99番がな……」

「キルアが？」

聞けば、ハンゾーも三兄弟の誰かがターゲットだったのだという。
ハンゾーのターゲットは常にもう一人と一緒に居たため、潜伏し続けていた。ターゲットはキルアを狙っていた三男と合流し、そこでキルアに全員のプレートを奪われた。

幸運なことにキルアのターゲットも三兄弟だったため、キルアはそこで要らないプレートを投げ捨てた。
ハンゾーは自分のターゲットのプレートが投げられるのを確認して追っていった、のだが。

「貴方に気付いてたキルアが投げる直前でプレートをすり替えた、ってこと？」

「ああ、そのようだ。中々やるな、あいつも」

プレートを取ろうと伸ばした手をひょいとかわせば、ハンゾーの眉がピクリと動く。

「何故、避けた」

「してほしいことがあるの」

「してほしいこと？でもアンタ、当たりのプレートだろ？」

ハンゾーはどうやら、プレートを取ってきてほしいと言われるのだろうと勘違いしたようだ。
勿論、その勘違いは正しく勘違いだ。彼の言う通り私のプレートは当たりのものだし、私がお願いしたいのはハンゾーの予想したことじゃない。

「貴方とちょっと闘ってみたいのよ」

「俺と？やめた方がいいぜ」

「闘わないならプレート持ち逃げするから結構よ」

べっと舌を出せば、ハンゾーの額に青筋が走る。
奪おうと素早く動く手をすり抜けて、私は隣の枝に飛び移った。

「どちらかが気絶するまで私と闘ってくれればこのプレートはちゃんと貴方にあげる。勝っても負けてもよ」

「本当に、それでいいんだな」

「武器は使っても構わないわ。私はもってないから素手ね」

ショルダーバッグにハンゾーのターゲットプレートをしまい、両手をあげてヒラリと振る。
ハンゾーはそれを見ると両手を鳴らして構えを取った。

「武器も持ってねぇ相手と仕事でもねーのに闘えるかよ、俺も素手でいくぜ」

笑顔をしまったハンゾーに対し、私は笑みを保ったまま振った腕を下ろす。
念は使わない。素手のみの戦闘。開始を告げたのは、鳥の羽ばたく音だった。