3人目 ページ5
ホークスSide
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「エンドー？あ、もう寝た？」
『………』
仮眠室のベッドを上から見下ろせば、死んでいると錯覚するほどに静かな寝息を響かせる彼がいた。しかし少しでも手を伸ばせば、即座に抑え込まれることを俺は知っている。
ほんっと、反射って怖い！
そう思っているのを感じ取られたのか、ぱちっと彼が目を開けた。思わずガバッと顔を上げれば、天井に頭を打ち付ける音が過眠室に響き渡る。
「痛っ、ちょ、びっくりした！」
『……嘘つけ、何十回も見てたら慣れる筈だよ』
日中は変に格式ばった感じの彼の声も、仕事が終われば少しばかり柔らかくなる。他人の目があるときは、なめられない為に、仕事中とオフとで分けてるんだとかいないんだとか。
……俺にとっては特別感あるけど、その身長と体格では無いと思う。
いてて、と頭をさすっていると、向こうから話かけてきた。
『にしても遊英編入ってなんだよ、編入って』
大学生やってた時のことも朧げなのに、というその字面は成熟した大人のようにも思えてくる。でも考え込むその姿は年相応のもの。
でも確かに、遊英“編入”はびっくりしたよ、ほんと。
「んー、じゃあいっそ仕事だって割り切っちゃえば？」
『それは勿論わかってるけど、立ち回りをどうすればいいかって話だ』
「そーゆーこと」
距離を置く？無口？あえて明るく？と述べていく彼。
『そこも指示が欲しかった』
普段はとりあえず殺すだけだったから困る、という彼を見て名案を思いついた。
「そーだ、今度の遊英体育祭一緒行かない？」
どんな生徒がいるかとか、実力をこの目で見ておきたいって言えば席ぐらいすぐ取ってきてくれるでしょ、といえばエンドも納得がいったみたいで、少し顔を綻ばせた。
『ホークスと行けるなら行きたい』
「よし、それを見てからどうするか考えても遅くないでしょ」
明日話してみる、と言ったエンドにサムズアップを返して、今度こそ頭を撃たないようにゆっくりと顔を上げる。
謎の達成感に包まれて俺の意識は落ちていった。
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作者名：ゆきや | 作成日時：2022年9月26日 1時
