赤井秀一の悪友4th【名探偵コナン】

思いがけない番狂わせ ページ15

「バスジャック…ですか？」

『そう、ちょうど二人と対象が乗ったバスが。ほんと最悪…これは作戦仕切り直しだわ』

行儀は悪いが舌打ちしながら、私は聴き取れる情報を整理する。ー犯人は二人組、爆弾を作って宝石店を襲った強盗グループのリーダー格らしい男の釈放が目的ときた。

『いや待て…二人じゃないな、もう一人乗客に紛れて監視役がいるはず』

それで、逃亡中の三人組が揃って辻褄があう。先程から不自然なくらいに犯人が後ろの気配に聡すぎる…。

「ニーナさん？」

『矢島邦男…絶対サツに突き出してやる。お前のせいだこの野郎…！』

部下たちが怯える中、私はありとあらゆる手を使って犯人たちの目的である人物の居所を洗い出した。後で匿名で警察に情報をさりげなくリークして、さっさと捕まえてもらおう。ただで逃すと思うな、私たちの邪魔をしたあんたが悪いんだ。

『さあて…この状況、君ならどうする？little』

運が良いのか悪いのか、そのバスには件の少年も乗っているらしい。そうじゃなくても、FBI(うち)の仲間が二人に組織の幹部が乗っているのだ…怪我人はゼロのまま、このバスジャックは終わる事だろう。私は余裕を保ったまま耳をすませる。

『…待って、秀一が新出智明と一緒に犯人たちの身代わりに指名された。何この状況』

「ええ、赤井さんが！？」

『やばい、笑いが止まらない…不審者伝説更新してる…。我が相棒ながらこれは…ふふっ…あはは！』

「「(やっぱりこの人すごい…あの赤井さん相手に臆する事なく大爆笑してる)」」

めっちゃ笑ったわ…後で揶揄うネタにしよ。イヤホン越しのあちらでは、いよいよ事態はクライマックスに差し掛かっていた。身代わりを秀一と新出に任せ、乗客たちは全員爆弾で口封じし…犯人たちは解放された客を装って嘘の証言で逃げ切る算段だろうけど…。

『そうは問屋がおろさないってね』

爆破音はしたが、どうやら乗客たちは全員無事…犯人たちも確保されたらしい。少年とジョディが話している様子だったので、私は片耳の音源をジョディに持たせた端末の方に切り替えた。

『…いやはや、ガムだけで仲間を見抜いたか。やるねえlittle』

加えて、ジョディが犯人のトカレフの安全装置を入れた事まで気付くとは。

＜2月23日、不測の事態により追尾続行不能…標的(ターゲット)は現れず…後日改めて調査を再開する…以上…＞

周囲が落ち着いたのか、連絡用の端末で報告が来た。とは言っても、一方的に切られたけど

※意地が悪いのはお互い様→←ホームズとワトソン

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