◇0．【雑誌パーティー】 ページ1
．
_____
ガラガラガッシャーン！
「あ、…」
凄まじい音をたて、崩れる本。
5年前の地下室の倉庫。
薄暗くて虚しく寂しい。
それでも私はここが大好きだった
私が私のままでいられる場所。
「はやく、片付けなきゃ……」
1つずつ本を手に取る。
もう1つの本を取ろうとしたとき、私の目はそれに吸い寄せられた。
「パーティー……、?」
生前の伯母様の好きだった本。
優しかった伯母様。だけど昨年、息をひきとった
悲しくて悲しくて。一晩中泣きじゃくった
伯母様の死を認めたくなくて。それ以来、伯母様のことを思い出すのは辞めていた。
──この雑誌はとてもおもしろくてねぇ。──
伯母様の言葉が私の頭をよこぎった
「伯母様が好きだった雑誌…、」
軽くホコリを払い、パラパラとページをめくる
様々なことが面白い見出しと共に載せられていた
好奇心と興味を惹くようで
伯母様が好きなった理由が少しだけわかるような気がした。
そのままページをめくっていると、「編集後記」というページを見つけたの。
雑誌に関わった人達がコメントを寄せるコーナーだった。
文を目で追っているとき、その言葉を見つけた。
そこから私は決心したんだ。
【2つの命が生まれました。１つは「パーティー」
もうひとつは娘・ゆの。２つの新しい命を、大切に大きく育てていきたいと思います。】
「副編集長、白石あつし……」
そう言って私は雑誌を閉じた。
伯母様。私決めました。
伯母様が大好きだった雑誌を私が守ります
「白石、"ゆの"」……、
そうポツリと呟く。この子が雑誌を続けてくれるのかもしれない。
連載が終わってしまっているらしいけど
その可能性にかけたい。
この子に会いたい
そうすれば、伯母様のことが少しだけでも分かるかもしれない。
「…伯母様。見ててください」
「私が絶対に、『パーティー』を守ります。」
両腕で"パーティー"を強く抱きしめた
そこからだ。
そこから、私はこの雑誌の虜となっんだ。
．
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：123 | 作成日時：2022年3月4日 20時
