D.gray-manー2人で歩く道② (ページ10)

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贈り物ページ10

ア「…あの、A？どうしてそんなに急いでるんですか？」

ラビと話し終えてから30分程経った頃だった。
自室でゆっくりしていたアレンの元に、報告を終えたAが訪ねて来た。

彼女は何やら楽しそうな表情で、何も言わずに彼の手を取って歩き始めた。
どこに行くのかと聞けば「私の部屋！」と返されたのだが、ずんずんと歩き進める彼女の様子に疑問の色は消えなかった。

『ふふ、内緒だよ』
　

部屋に入ると、アレンはベッドに腰掛けて待つように言われた。
部屋をぼんやりと眺めれば、彼女が先程まで抱えていた沢山の薔薇が花瓶に飾られていた。
花束だけじゃない。数多くの贈り物はどれも無駄にすることなく、大事に取っておいているのだ。Aはそういう女性だ。

ア(…そんなの、前々から知っていたのにな)

また色々と考え込みそうになり、思わず俯いていた彼の目の前に、突然ずいっと箱が差し出された。

ア「わっ！…こ、これは？」

『プレゼント！私からアレンくんに。時間が無い中で慌てて買ったから、さっき自分で簡単にラッピングしただけなんだけど…』

ア「えっ、僕に…？」

彼女は笑顔で大きく頷いた。開けてみて、と言われるがままにリボンを解いて開けていく。
突然のことで頭が追い付かない。

ア「わあ…！綺麗なイヤーカフ…！」

『任務終わりに覗いてたお店で偶然見つけてね。その埋め込まれてる石の色が綺麗で…アレンくんの髪色みたいだから、思わず買っちゃったんだ』

え、と間抜けな声がまた出てしまう。
見かけた耳飾りの装飾で自分の髪色を思い浮かべてくれ、さらにはそれをプレゼントまでしてくれたのか。

ア(…そんな、嬉しすぎることあるのか…！？)

嬉しさのあまり、頬が緩み切ってしまいそうなのを、片手で口を覆って誤魔化す。
よく見ると、Aも少し照れ臭そうに笑っていた。

『きっとアレンくんに似合うよ！付けてあげる』

ア「えっいや、自分で付けれますから…！」

『いいからいいから！』

彼女の手が、アレンの耳に優しく添えられる。
そのまま、綺麗なイヤーカフが付けられた。

『…うん、とっても似合ってる！かっこいいね』

そうやって、眩しい笑顔で楽しそうにしている彼女を目の前にすれば、彼の心にかかっていたもやは、いつの間にか無くなっていた。