D.gray-manー2人で歩く道 (ページ8)

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伝えられた事実ページ8

ーー1週間後。

『…よし』

バ「あんまり力みすぎるなよ、A」

アジア支部の支部長室で書類を受け取り、今から蝋花のもとへ向かう。

『うん、大丈夫！行ってくるね』

心配そうな表情のバクに、笑顔でそう告げて支部長室を後にする。

ーー実のところ、彼女はかなり緊張している。
ひとまず科学班の部屋の方へ足を進めながら、大きく深呼吸をした。

(…とにかく、私の正直な気持ちを伝えに行こう)

～～

科学班の部屋の扉を開けると、すぐに李佳が駆け寄って来た。

李「Aちゃん！今日はどうしたんだ？」

『李佳くん、久しぶり。…蝋花ちゃんとちょっとお話がしたくてね』

そう言うと、彼も全てを察したようで少し真剣な面持ちになった。

李「そっか、あのことか…。まあアイツなら大丈夫だと思うし、最悪俺達も力になるから安心してな」

呼んでくる、と言って奥の方に消えていった。

(…ありがとうね、李佳くん)

暫くすると、蝋花が大慌てでこちらに走り寄ってきた。

蝋「Aさん～！！お待たせしてしまってすみません！」

『久しぶりだね～蝋花ちゃん！こちらこそ忙しい時に突然ごめんね、ちょっと話しておきたいことがあって』

そう言いながら、科学班室の外に促す。

蝋「話…ですか？」

うん、と頷き、自分を落ち着かせるように大きく深呼吸をした。
蝋花は不思議そうな表情を浮かべている。

『突然なんだけど……前、蝋花ちゃんはアレンくんが好きなんだって、話してたよね。』

蝋「！？…はっ、はい！そうです…けど…」

照れくさそうに話す彼女を、じっと真剣な目で見つめながら、Aは続けた。

『…あの時、私はアレンくんを恋愛の意味として好きじゃないんだって、蝋花ちゃんに言ったこと…覚えてる？』

蝋「はい、恋愛感情がわからないって…言ってましたよね」

『うん。…あのね、』

ーー今まで、恋愛なんてして来たことがなかったから。

自分が結ばれて幸せになる一方で、想いが実らず悲しむ人だっていることを分かっていなかった。

この真実を伝えることで、自分は大切な仲間を傷つけてしまうから。

ーー怖くて、たまらない。

震えてしまう唇を固く結んで、恐る恐る、言葉を発した。

『私、今…アレンくんと付き合ってるんだ』

ーーそれでも、この事実はちゃんと伝えなきゃいけないから。

自分の気持ちに、嘘はつきたくなかった。