彼女の本心 ページ24
『ーー少し前から、ラビくんのことが気がかりだったんだ』
ラ「…気がかり?」
『……いつの間にか、ラビくんは私と1枚壁を作って話すようになったよね。…いつ頃からかな…確か、アレンくんと3人で2日間任務に行った辺りから』
ラ「…」
ーー彼女の鋭さに、彼は内心ぎくりとした。
鈍感なAが、まさかそこまで見透かしているとは全く思っていなかったのだ。
ブックマンとして不味いことではあるのだが、それと同時に、ちゃんと自分を見てくれていたことに、無意識に喜んでしまう。決して表情には出さないが。
Aは続けた。
『…私が4年ぶりに教団に帰ってきて、ラビくんと会ったばかりの頃、ラビくんは任務帰りの私によく声をかけてくれてたよね。
あの頃、いつも私の怪我の心配をしてくれていて…出会ったばかりなのに目を向けてくれていたこと、声をかけてくれたこと、それと…"無理するな"と、ちゃんと私を注意してくれたことが嬉しかったんだ。
…だからね、私も…お返しになれるようなことをしたいと思ってた』
ラ「…」
『そんな中で…突然距離を置いて話すようになったラビくんには、違和感を感じてた。…ずっと…心配だったから、あの時も声をかけたんだけど…やっぱり私は力になれなかった』
ラ「それはっ…」
『"ブックマン"というのが、教団ではどういう立ち位置であるのか分かってたのに、逆にラビくんを困らせてしまうことをしてたんだって、あの時気づいたの。
…結局力にもなれなくて、怒らせるようなことまでしてしまって…そんな自分に物凄く腹が立った。
ーーもちろん、私の気持ちも知らずに八つ当たりしてきたラビくんにも怒ってたけどね』
今はもうだいぶ落ち着いて余裕が出来たのか、笑顔でそう話したA。
そんな彼女から打ち明けられた話に、彼は目を丸くしながらそっか、と小さく呟いた。
ラ「ーー結構な間、心配してくれてたんさね…まさか、そこまで思われてたなんて全然思ってなかった」
はあ、と大きな溜息をつくと、ラビは右手で顔を覆って黙り込んでしまった。
『…例えブックマンでも、大事な仲間だから。何かしら力になりたかっただけなの。
ーーラビくんからは詳しいことも、その理由も、話さなくっていいから。
ただ、私のこの気持ちだけは、ラビくんに知っておいて欲しいんだ。
また、笑顔でラビくんとお話したい。これは本当だからね!』
…彼女の満面の笑みを、彼は久々に見たのであった。
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みれい(プロフ) - すごく面白いです!アレン推しなので、アレン落ちの小説が少ないのですが、その中でもめちゃくちゃ好きです!更新楽しみにしてます! (2020年2月22日 16時) (レス) id: b87f86880a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ナジカ | 作成日時:2018年1月31日 22時