無防備な彼女 ページ6
ーーアレンSide
ア「………」
書庫に入ってすぐ、目を疑うような光景が視界に飛び込んで来た。
ア(見つけたのが僕でホンット良かった…)
読みかけだったのであろう書物を片手にソファの上で横になりながら、すやすやと寝息をたてているAが目の前に。
ア「…そういえば、前も書庫でうたた寝してたっけ…相変わらずだなあ」
ため息をひとつ落とす。
少し呆れてはいるが、やはり彼女らしくて可愛いな、という気持ちが勝ってしまうのだ。
そんな自分にも呆れてしまう。
ア(ここに来たのが僕じゃなかったら…恐ろしいなあ)
などと考えながら、そっと屈んで彼女の近くに寄り、すぐ近くで規則正しい寝息をたてるAをじっと見つめた。
ア(…うん、可愛い)
もう何度も目にしているものの、天使のような寝顔を目の前にするとやはり頬が緩んでしまう。
ア(…無防備すぎるのがいけないんだ)
そう自分に言い聞かせながら、彼女の前髪をそっと掬い、額に優しく口付けた。
ア(…今はもう、僕の大切な人なんだから)
ーー彼女を誰にも渡したくないと思う、独占欲。
それが自分でも驚くくらい、僕は強いらしい。
ア(…我ながら情けないなあ…)
今度は鼻先に口付けを落とす。
このまま止まらなくなりそうだな、なんて考えていたら。
ア「……」
目と目が合った。
その距離は僅か5センチ程で。
ア「えっ…と…」
『…アレン…くん…』
彼女は眠そうな目をしながらも少々戸惑っているように見えた。
ア「すっ、すみませ…」
離れようとしたその時、肩に手をかけられ、頬に柔らかい感触が伝わった。
ア「!?」
『…ふふっ、お返し!…というよりかは、寝ている私に悪戯した仕返し…かなあ』
びっくりしたよ〜 とニコニコしながら話すAをよそに、僕は暫く固まってしまった。
思わず頬に手をあてる。
ア「えっ、えっと…」
『…でも、起こしてくれてありがとね』
照れくさそうに微笑むA。
顔が熱くなっていくのがわかった。
ア「…はい。…でも、無防備に至る所で寝てはいけませんからね!心配になりました!」
『あははっ!ごめんね〜、これからは気をつけるよ!』
ア「お願いしますよ!」
だなんて言い合って、顔を合わせて笑い合う。
ーー幸せだな、と感じた。
『そうだ!アレンくん、このまま食堂、一緒に行かない?』
ア「あ、丁度よかった!行きましょう!」
ーー2人で手を繋いで、僕達は書庫をあとにした。
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みれい(プロフ) - すごく面白いです!アレン推しなので、アレン落ちの小説が少ないのですが、その中でもめちゃくちゃ好きです!更新楽しみにしてます! (2020年2月22日 16時) (レス) id: b87f86880a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ナジカ | 作成日時:2018年1月31日 22時