彼女の成長 ページ29
『フォーちゃーーーん!!』
彼女が駆けつけたのは、封印の間。
アジア支部に帰ってきて1日目の時と同じように、大声で名前を呼ぶ。
フォ「…うるっせぇなあ。もう帰ったのかと思ってたわ」
昨日のアクマ襲撃の際の傷が深いらしく、フォーは姿を現さない。
封印の間を通して、2人は会話をする。
『ひどいなあ〜もう!…ちゃんと挨拶したくて、駆けつけてきちゃった。調子はどう?』
フォ「まだあちこち戻りきってねえよ。まあ別にこれくらい、休めば治る。…お前のおかげだよ」
『!』
フォ「本当に強くなったよな、お前。エクソシストになりたての時はセンスの欠片もなかったし、体力もなかったよな…。よく頑張ったよ。」
『…ここまで来れたのは、フォーちゃんのおかげだから。私がすごいんじゃないよ。フォーちゃんがいないまま、エクソシストを続けてたら…きっと私、早いうちに死んでると思うもん!』
フォ「ははっ!それは言えるな!…これからも頼むぜ、バクのことも、支部のことも。」
『もちろん!…私が本部にいる間は、フォーちゃんがバク兄の面倒みてね!』
フォ「はいはい。ったく、どっちが歳上なんだか…」
『ふふっ』
フォ「……もう時間だろ。とっとと行けよ」
『はいはい。』
フォ「はい は1回でいいっつの!!」
『ふふっ、はーい。行きますよ〜もう。』
そう言いながらAは、扉に背を向けて歩き出した。
『元気でね、フォーちゃん。また来るから、その時はよろしくね!』
フォ「おう、次は負けねえからな。」
『どうかな〜。ふふっ』
フォ「……行ってこい。どんな時でも、気ぃ抜くんじゃねえぞ、A。」
『…うん。ありがとう!…行ってきます!』
笑顔で振り返りそう告げると、彼女は行ってしまった。
フォ「相変わらず賑やかなやつ…兄貴と似すぎだぜ…
ーー14勝18敗…になっちまったな…」
今回の4年ぶりの対決でも敗北してしまったのだが、実は昔からずっと連続で負け続けているのだ。
フォ「最初はワタシが勝ちっぱなしだったのに。越されちまったなぁあっという間に…。最初の14回はマジで弱っちかったのに、恐ろしい奴…」
彼女の成長にはずっと驚かされてばかりだ。
彼女を強く、逞しく育ててきたフォーにとっては、喜ばしい限りのことではあるが。
フォ「…お前はすごいよA。…大好きだぜ」
ーー静かな封印の間に、フォーの優しい呟きが響き渡った。
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作者名:ナジカ | 作成日時:2017年9月9日 19時