自覚 ページ13
アレンsideーー
…気づくと、見覚えのある天井が視界に入った。
ぼんやりと眺めて、今まで自分は何をしていたのか思い出そうとする。
ア(…そうだ…僕、アクマと戦っている間に………今ここは……)
周りに視線を移して把握しようとするが、寝ている状態では難しい。
起き上がろうとすると、身体中に激痛が走った。
思わず声を上げてしまう。
ア「いっつっっ!!!」
あまりの痛さに、結局起き上がれず。
ふと、左手に温もりを感じた。
ア「…A……!」
左側を見ると、Aが僕の左手に自分の手を重ねて、椅子に座ったまま眠っていた。
どうやら彼女がずっと見ていてくれたらしい。
つまりここはアジア支部か…と考えていると。
A『んん……アレン…くん…?』
ア「A…!起こしちゃいましたね…」
目覚めたAは、ぼんやりとした目で僕を見つめる。少し寝ぼけているのだろうか。
A『……起きた…ーーアレンくん!!起きたんだね!!』
ア「わわっ!!…痛っ!!」
ものすごい勢いで抱きついてきて、喜ぶA。
僕は驚きと怪我への衝撃に声を上げた。
A『あっ、ごめんね!怪我が……』
ア「いえ!なんのこれしき!…ずっと、傍にいてくれたんですね。ありがとう…」
A『ううん!とにかく無事で良かったよ…安心した』
ほっとした様子で、再び彼女は僕を包み込む。
少し照れ臭くて、顔が熱くなるのがわかった。
ア「すみません、仕事している間にも心配かけてしまって…」
A『本当だよ!心配で心配で…最初聞いた時は驚いたんだから…。でも今は、アレンくんが無事でいてくれる事の方が大事。おかえりなさい!』
ア「はい!…ただいま!」
A『うん!…あ、ひとまずバク兄達を呼びに行かないとね。これからのことも色々伝えたいし…』
そう言って、部屋を出ようと向かう彼女の腕を、僕は無意識に掴んでいた。
A『…わっ。どうしたの?アレンくん』
ア「あっ…えっと…ちょっと寂しく…て…」
…もう少しだけ、2人でいたいと思ってしまった。
下手な誤魔化し方で余計に恥ずかしくなる。
そんな僕を見て、Aはクスリと笑った。
A『アレンくんたら…可愛いなあ〜!…いいよ、もう少しだけいるね。』
本当はダメだけど、と口元に人差し指を立てて言う。
…結局目覚めてから少しの間は、2人で話して過ごしてしまった。
ーー僕は、彼女のことが好きなのだ。
改めて気づいてしまった。
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作者名:ナジカ | 作成日時:2017年9月9日 19時