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「それで、あなた達は何をしに来たの」
荷物を片付け終えてそう聞くと、答えたのはルーシィだった
「これ、Aさんも一緒にどうかなって」
「...あぁ、そういえばそんなこと言ってたわ」
差し出された物を見て、ギルドに向かう最中に突然現れたレオのことを思い出す
限界が近付いていたはずの彼がひどく穏やかな表情でルーシィと契約したことを報告に来たのだ
ルーシィの手にはその時ついでに誘われたリゾートホテルのチケットが握られていた
私の言葉に彼女は顔を曇らせた
「言ってた、って...ロキに会ったんですか?
...やっぱり、知ってたんですか」
その問いに少し考え
「別に驚くことでもないと思うけれど
「彼が星霊であること」を聞かれたと解釈しそう答えるとルーシィの表情は険しくなった
それを見て小さく息を吐く
(やっぱり、“そっち”よね)
濁した質問に敢えて見当違いな解を選んだ
けれど予想通り、彼女は気付いている
「そうじゃなくてっ...
ロキが苦しんでること、知ってたんですかっ...?」
今度は明確な問いを口にしたルーシィだがその声は震えていた
ほぼ確信しているけれど信じたくない、そんな様子だ
〈何故傷付いてまで確認するのかしら〉
《...さぁね
それはきみが考えるべきことだ》
それ以上言うことは無いとばかりに意識の奥へ引っ込んでしまったヴァルトに心の中でため息を吐く
とりあえずその事は置いておくとして、現実のルーシィに向き合う
「知っていたわ」
あっさりとした答えに彼女は声を荒げた
「っ、それならどうして!
どうして助けなかったんですか?!
仲間でしょ?!」
噛み付くように言う、その理由も分からない訳ではないけれど
「あなたの優しさと強さ...星霊への深い愛情がレオを救ったのは事実
誰にでも出来ることじゃない、素直に尊敬するわ」
それでも
「だからといって、彼の意思を尊重しようとしたことを責められる謂れはない」
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作者名:金城にこ | 作成日時:2017年1月15日 19時