【刀剣乱舞】私はあんな姉のコピーじゃないので新しい本丸で暮らします。

相棒の側に居ること ページ14

『鶴丸、三日月、私が指示を出すまで抜刀はするなって言ったでしょ？』



三日月「いやぁ、ちと、抜刀せざるを得ないと思ってな」



鶴丸「いきなり刀を向けられるなんて驚きは、今は求めて無かったんだがな」



彼らの笑顔には、殺気が込められていた。



『これで二回目だね。和泉守兼定』



私たちに刀を向けていたのは、和泉守兼定だった。



和泉守「またアンタか。審神者」



刀を収めようとしない彼の眼は、相変わらず冷たかった。



『私の本丸になったんだから、此処の本丸の広さを確認しないと。それより、君に贈り物があるんだ』



ポケットから小さな布袋を取り出し、和泉守兼定に手渡す。



和泉守「……アンタ、これをどこで見つけたんだ？」



布袋の中に入っているのは、離から持ち出した粉々に砕け散った堀川国広の本体である。



『知らぬが仏だよ』



和泉守「……なぁ、アンタは、折れた刀剣を治すことは出来るか？」



『出来るよ。ついさっき、四振り治したからね』



和泉守「頼む。こいつを、国広を治してやってくれ！ オレは折れたって構わない！ 国広を助けてやりたいんだ！」



布袋を畳の上に置き、彼は額を擦り付けるくらいに土下座をしていた。



『……それは、本心で言ってる？』



少しの間を空け、彼に問う。



言葉なんて嘘の塊だ。所詮、たった少しの嘘や綺麗事を言葉に加えることによって、相手を簡単に信じ込ませてしまうんだから。



だから聞いてみた。彼の相棒に対する思いが、真実なのかということを。



『この子はさ、君を庇って折れたんでしょ？ 大切な相棒を守りたいから、自分はどうなったって構わない。って。でもさ、仮に私がこの子を治して君を折ったとすると、沖田組も見当たらないし、この子は独りぼっちだよ？ 助けたいんだったらさ、折れるんじゃなくて、相棒として側に居ないと駄目なんじゃ無いの？』



和泉守「国広の、側に……？」



『そう。たった一人の相棒なんでしょ？ 二人で一つ。それが君らにはピッタリだと私は思うな』



たとえ自身が本心で言っていたとしても、一部の人間からは嘘や綺麗事を言っていると思われる。



今の私の言葉も、嘘や綺麗事だと思われているかもしれない。



『君のこの子に対する思いが真実なら、言葉じゃなくて行動で示さないとね？』



砕け散った堀川国広の本体を並べ、霊力を少しずつ当てていく。



堀川、君の相棒が待ってるよ。

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