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なんだか藤ヶ谷らしいと思った
あながち間違っていないから否めないが、快適に過ごせるのも嘘ではない






「違うよ、自由に過ごせないって結構不便なんだ。だから施設に行きたい」








「ならいい。今度俺も見学しにいく」







こうして施設に行くことを許されたわけだが、快適に暮らすことを目的にしたのではない



まあ後々快適に暮らせるように、となるのだがただのんびりと過ごすわけではなく、白杖や点字の読み方なども教えてくれる





性格上誰かに頼りきりというのはストレスになるからこれがいいのだ









「藤ヶ谷、いつもの」






「はいはい」







あの日から日常化したものがある
普通の恋人では必要のないことだ








ソファに隣り合って座り、向き合うとお互いの頬を両手で包み込む
決して柔らかいとはいえないそれは、少し体温が低い







「合ってる?」








「全然、もっとした。あーいきすぎ、ちょっと上、ほんのちょっと、そこ。いまあってるよ」







お互いの顔を固定し、目を合わせる練習をしているのだ




この練習はなんの意味も成さない。だが、たとえ見えなくてもいい、藤ヶ谷とは目の合った状態でいたい。藤ヶ谷と話してるのに違うとこ見てたら寂しいでしょ?という俺の想いから始まったものだ








目が見えないと声のするほうは向けても、話し手とは違う方向をみてしまう。それを藤ヶ谷相手にはしたくなかった、普通の恋人として接したかった







目が合ったことに満足するのが分かったのか、空気がかわったのを感じる。ああ、キスされる。衣服が擦れる音がして柔らかくて心地いい藤ヶ谷の唇が冷え切った自分の唇にあたる








こうなる以前ではすることのできなかった恋人のようなこと(恋人なんだけど)を普通にできているのがとても嬉しくて、いつも目頭が熱くなる








「もっと、して」







気づいた時にはすっぽり抱きしめられていて、抱擁と共に藤ヶ谷の温度を感じた

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ばなを(プロフ) - ありがとうございます!不束者ですがよろしくお願いします(^^) (2018年9月19日 2時) (レス) id: a966f57933 (このIDを非表示/違反報告)
みむちゅん(プロフ) - ばなをさんはじめまして。 昨年ばなをさんの作品を見させていただいていたのですが、一時的に公開してくださりまた見ることができました!! ありがとうございます。陰ながらばなをさんを応援しておりましたので、とても嬉しかったです。これからも頑張ってください! (2018年9月17日 10時) (レス) id: e8c437355d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ばなを | 作成日時:2017年5月24日 21時

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