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目が見えない、というのはとても怖い
いつも真っ暗で予測ができないから少しの物音でもとても驚く
幅が分からないからすぐ怪我をするようになった
すぐ角に手足をあて、悶絶していると頭をまたぶつけたり、そんな間抜けなことを繰り返す
そのくらい目が見えないというのはとても不便で、何もできない
あの後、藤ヶ谷は俺の部屋に引っ越してきた
ここの方がどこに何があるのか分かるだろう、という藤ヶ谷の気遣いからだった
藤ケ谷が一緒に暮らしてくれるといって、全てが解決するわけではなかった
あっちにも仕事があるし、俺を養おうとしてくれているから辞めるわけにはいかない。そんな藤ヶ谷に甘えきりの状況が嫌で、情けないと口に出したらとても怒られた
頼れと言っているだろう、と
藤ヶ谷なりの優しさだった。でもその優しさが、逆に俺を追い詰める
「施設、?」
「うん、24時間体制なんだ」
「なんで、俺離れないって言っただろ。勝手に決めるなよ」
「待ってよ、話最後まで聞いて」
施設、という言葉を聞いただけで藤ヶ谷はぷんすこ怒った
見えなくても彼を纏う空気が変わったのがわかる
「24時間体制って言っただろ。だから藤ヶ谷が仕事に行くときに行って、帰りに迎えに来てくれたら一緒にいれるだろ。まあ保育園だと思ってくれればいいよ。俺1人じゃトイレに行くのも飯食うのも簡単じゃないし、何かあったら困るだろ。長期間ロケで離れる時は泊まることもできるし」
「ふーん」
何だか疑われているけど嘘はついていない
保育園より有料老人施設と言った方がよかっただろうか
「その代わり、手厚いぶん、金はかかるから藤ヶ谷の合意がいるんだけど」
「別にいいよ」
「え?いいの?」
「なんかやましいことでもあんの」
「ないけど…なんからもっと反対されるかと思った」
「北山がそこに行きたいんだったら反対しないけど、迷惑だとかそういうこと考えて言ってるなら反対する」
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ばなを(プロフ) - ありがとうございます!不束者ですがよろしくお願いします(^^) (2018年9月19日 2時) (レス) id: a966f57933 (このIDを非表示/違反報告)
みむちゅん(プロフ) - ばなをさんはじめまして。 昨年ばなをさんの作品を見させていただいていたのですが、一時的に公開してくださりまた見ることができました!! ありがとうございます。陰ながらばなをさんを応援しておりましたので、とても嬉しかったです。これからも頑張ってください! (2018年9月17日 10時) (レス) id: e8c437355d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ばなを | 作成日時:2017年5月24日 21時