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黒いマントと赤いリボン*3 ページ3

*





「……行ってくるよ、宏光」





宏光からもらった石に触れ、話しかけ、口付けた。






今日の行き先は街だ。
いつも街で買いだめしている小麦粉と砂糖がなくなったので、母親の代わりに買いに行く。





"……宏光、愛してる、…一緒に生きよう"





あの日、気づけば森の入口に倒れていた。
宏光にあの言葉を伝えてからの記憶が何もない。
空のはずのカゴはベリーでいっぱいだった。





あの日以来半年が経つが、俺は森に足を踏み入れられなくなった。
森に入ろうとすれば、森の入口から先、足が動かなくなってしまう。
きっと宏光の魔法にでもかかっているのだろう。
…もう、来るなということか





悔しいけど、これも運命(さだめ)かと、宏光に会う手段を絶たれてしまった俺は、そう思うしかなかった。







村の入口にある村で最も大きい広場に出ると、なにやら人が集まっていた。





「魔法使いが捕まったって」

「どう処刑するんだろうか」





どくり、と心臓が震えた。
まさか、いや、でもあいつは、どこかどん臭くて、





「この魔法使いをいかに処刑しようか!」





街から来たのであろう、偉そうにひげを伸ばした役人が何やら大声で言っている。
隣には柱に括りつけられている魔法使い。
茶色がかったふわふわとしたくせ毛…宏光だ。






「火あぶりだ!」

「川に沈めてしまえ!」






様々な声が上がる中を、抜けていく。






「…お言葉ですが」





宏光が俺の声にバッと顔を上げた。
一度だけ目を合わせ、再び役人の目を見る。




「その魔法使いの処刑、私にお任せいただけませんか」





今日の行き先が街でよかった、小綺麗な格好をしているから、有識者にも見えないこともないだろう。




「…ほう。この魔法使いをどう処刑する。火あぶりか?」




すう、と息を吸った。
宏光が魔法使いとわかってからの半年、魔法使いについてこっそり勉強していた。





「火あぶりにすれば、呪いの煙が村を覆うだろう。石に括りつけて川に沈めれば、川は氾濫し、水は黒くなり作物は枯れ果てるだろう。」




"言い伝え"にすぎない魔法使いの処刑結果を次々と並べる。




「…ならばどうする」








「私が身をもって、その魔法使いを追放しよう。遥か遠くへと」






「…いいだろう」




役人は鼻で笑うと、手首を縛られたままの宏光が引き渡された。





「逃げよう。遥か遠くへ」




宏光はぎゅっと下唇を噛んだ。
涙がこぼれていた。



*

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作者名:しょこら | 作成日時:2018年8月20日 12時

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